2、雨降る街で ページ7
雨の降る夜だった。
・
秀明が終わった後。
ビルから出た私は、暗闇の中、しとしとと雨が降っているのに気付いたんだ。
やだなあ。
顔を顰める。
私、そんなに雨は嫌いじゃない方。
傘とか、色んな種類があって、道行く人の傘を見て歩くのが楽しいんだ。
でも、今は夜だからそんなに人もいないし、なにより暗いから気分が盛り下がるもの。
憂鬱…だなあ。
仕方なく、鞄に常備していた折りたたみ傘を出す。
開くと、可愛らしい小さな白い花が大量に咲いて、私は少し嬉しくなった。
ふふ、お気に入りなんだ、これ。
そうして、私は傘をさして、家路を歩いた。
・
暫くすると
「あれ……」
私は、思わず足を止めたんだ。
あれって……
えっ、黒木君っ?
街灯の少ない道路に、黒い影が佇んでいる。
一瞬分からなかったけれど、あれって黒木君だよね?
傘もささずに、身じろぎ一つせず、ただそこに立つ黒木君。
雨に打たれ、さらに艶やかさを増した髪。
陰を宿したように伏せられた瞳。
濡れた白い肌が艶めかしく輝く。
かすかな月光に映し出されたその姿は、
まるで吸血鬼のようだった。
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イズミ - 黒木君が泣くという発想がわたしにはおもいうかばなっかたので、すごいとおもいます。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page12 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
イズミ - アーヤが7人で見たらぎゅうぎゅうだよ。って言った後、「アーヤ最強。」と言われているのも面白かったけど、どいう意味かアーヤが分かっていないのが面白かったです。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page6 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - わ、待ってます! (2019年1月6日 0時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
花畑(プロフ) - ずずさん» 了解です(笑)次の「誰も知らない物語3」で書かせていただきますね!いつになるかは分からないですが…その時はよろしくお願いします。 (2019年1月5日 21時) (レス) id: e150cc9add (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - 大丈夫です、嬉しいです!あ、いや、受け取らなくてもいいですよ…? (2019年1月5日 20時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
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