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8、黒彩まとめ「呪詛」 ページ34


(黒木side)




自分が、他人とは違うと理解した日。
それがいつだったかはとうに忘れてしまった。



ただ、自分が異質なものに思えてならず
けして焼けない白い肌が憎く、

その下に流れる血は本当に赤いのかと確認せずにはいられなかった。


だがそれも、傷つけられた体はすぐに元通りになるということを知ってからはやめた。



完全な体が憎かった。その中の血も、細胞も、全てが自分ではない気がして。

誰に生かされてなんのために生きているのか。考えすぎては分からなくなる。



どれだけ普通の子になりたいと願っても、それは叶わない。運命が自分を嘲笑っているようで、ひたすらもがいた。



必死だった。このまま用意されたレールに沿って生きていくなんて真っ平御免だ。俺には俺の生き方がある。そう言って反抗して、突っ張って、がむしゃらに走って。

気づけば心は傷だらけで。




暗闇で一人、膝を抱えて思う。俺には自由なんてない。俺の生き方なんてない。
俺は幸せになんてなれない。











「そんなの誰が決めたの?」



暗闇を照らす夜明けの光のように。僅かな曖昧さを伴った柔らかな微笑みが静かに尋ねた。


「幸せになれないなんて決めたのは、あなた。勝手に悟って勝手に一人で拗ねていたのはあなただよ」


女神のような表情でなかなか辛辣なことを言う。思わず苦笑を漏らした。



「意外だなあ。いつも自信たっぷりに見えて、けっこう臆病なんだね」


白いワンピースがふわりと翻った。
薄暗い闇の中だからか、普段は茶色い瞳が今は琥珀のような輝きを秘めている。


「私は、黒木くんが好きだよ」


突然の告白に喉がカラカラに乾いた。

声を出そうと口を開けても、喉元を込み上げてくるのは熱の塊で。


そんな様子を見て、彼女はクスリと笑う。




「あなたを誰も必要としないなら、私が貰っちゃうから」



広げた華奢な腕に抱きすくめられ、体の力がふっと抜けた。

人の体温にこれほど心温められるとは思いもしなかった。けどそれも当然といえば当然のことで。

彼女の鼓動の音さえ感じられるほどの距離。



「……大好きだよ、アーヤ」


呟いた愛の呪詛は、一生 自分を捉えて離さない。

* 「雨」→←まえがき



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イズミ - 黒木君が泣くという発想がわたしにはおもいうかばなっかたので、すごいとおもいます。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page12 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
イズミ - アーヤが7人で見たらぎゅうぎゅうだよ。って言った後、「アーヤ最強。」と言われているのも面白かったけど、どいう意味かアーヤが分かっていないのが面白かったです。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page6 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - わ、待ってます! (2019年1月6日 0時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
花畑(プロフ) - ずずさん» 了解です(笑)次の「誰も知らない物語3」で書かせていただきますね!いつになるかは分からないですが…その時はよろしくお願いします。 (2019年1月5日 21時) (レス) id: e150cc9add (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - 大丈夫です、嬉しいです!あ、いや、受け取らなくてもいいですよ…? (2019年1月5日 20時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花畑 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年11月21日 15時

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