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「なあ、アーヤ」
私の手首を離し、改めて向き直ってくる。
はいはい、なんでしょう。
「ちょっと、目 瞑ってくれ」
はっ?
なんで?
「いいからさ、早く」
急かすように言われ、私は目を瞑った。
目を閉じる寸前、瞼の向こうに見えた若武の表情が、やけに悪戯っぽくて、不覚にもドキッとしたんだ。
イキイキしてる時の若武って、ほんとにいい顔するんだから……。
「まだだぜ。いいって言うまで開けんなよ」
はいはい。早くしてね。
なんだろうと思いながら、私は想像を巡らした。
目を開けたら、お化けの仮装をした若武がいるとか。
いやいや、ハロウィンはもう終わったし……。
目を開けたら、そこには若武じゃなくて上杉君がいた!!とか。
いや、ありえんありえん……。
「いいぜ」
言われて、ゆっくりと目を開けると……。
「えっ」
目の前にあったのは、
透明な世界の中で、無数の蝶の様に舞う雪。
雪原の中に立つニンジン鼻の雪だるまと、丸太小屋。
「スノー……ドーム…?」
「そ」
短く答えた若武は、私の目の前で持っていたスノードームを下ろした。
「綺麗だろ?」
うん…すっごく綺麗……。
一瞬、自分が雪の世界に飛んでしまったかのような、そんな錯覚すら覚えたもの。
「この前、家の近くにできた雑貨屋さんで見つけたんだ。
これ見て、すぐに、アーヤにあげたいって思ってさ」
若武……。
ニカッと笑うその姿に、僅かに動悸が高鳴る。
「でも……高かったんじゃないの?悪いよ、そんな」
「いいんだって。これ、俺からのクリスマスプレゼントだから」
クリスマスって……まだあと1か月くらいもあるよ??
「ん。正確には33日」
そんな細かい数字まで……。
私は、すこし呆れてしまった。
どれだけ待ち遠しいの……。
「じゃあ、なんで?」
そう聞くと、
すっと、真面目な顔になった。
……っ。
「去年のクリスマスはさ、事件とかあってドタバタだったじゃん」
うん……。
「だから、クリスマス当日に渡すんじゃ、遅いんだよ」
……
…どういうこと…?
「だから、今年のクリスマスは、
……これ見ながら、俺と一緒に過ごそう」
えっ……。
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イズミ - 黒木君が泣くという発想がわたしにはおもいうかばなっかたので、すごいとおもいます。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page12 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
イズミ - アーヤが7人で見たらぎゅうぎゅうだよ。って言った後、「アーヤ最強。」と言われているのも面白かったけど、どいう意味かアーヤが分かっていないのが面白かったです。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page6 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - わ、待ってます! (2019年1月6日 0時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
花畑(プロフ) - ずずさん» 了解です(笑)次の「誰も知らない物語3」で書かせていただきますね!いつになるかは分からないですが…その時はよろしくお願いします。 (2019年1月5日 21時) (レス) id: e150cc9add (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - 大丈夫です、嬉しいです!あ、いや、受け取らなくてもいいですよ…? (2019年1月5日 20時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
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