44.思いやる心を ページ44
「うるさいなあ…
一緒に遊んでくれないなら、
お前たちの目も潰してやる！！」
後ろに少しだけ目を移すと、
日輪刀を持つ花子さんの手が震えていた。
私はそっと彼女の手に自身の手を重ね、
花子さんと相之助くんの目を見て微笑んだ。
「行きます…！」
連続攻撃を繰り出しながら鬼に近づく…！！
炎の呼吸 壱ノ型 不知火…！
「あーあ、足を踏み入れたね…
すぐに僕の怨念の草たちが…」
参ノ型 気炎万象
「何…！？速い…！！」
弐ノ型 昇り炎天
さあ、道を開け…！！
後輩を導け…！！
杏寿郎が見つけ出してくれた私の良さを
今こそ発揮する時。
肆ノ型 盛炎のうねり！！！
「お願い…！！」
「まさかこいつの後ろに…！？」
空高く飛び上がるひとつの影が
曇り空の間から見えた満月と重なる。
「覚悟しろ…！！」
相之助くんの振り落とした日輪刀は
惜しくも鬼の手に阻まれた。
「ふっ…残念だったな！！」
「花子さん！！！」
「はい！！！」
「なんだと！？まだ後ろに…」
私が声をかけると、
力強く刀を握りしめた花子さんが
鬼の頸を捉えて切り落とした。
「嘘だ…僕がこんな雑魚たちに…」
景色に溶けて消えゆく鬼の元へ私が歩み寄ると、
鬼は涙を流しながら私に問うた。
「ねえ…どうしたら僕と遊んで…くれる…の？」
私はその頬にそっと手を当てて涙を拭った。
「難しいことではないよ。
相手を思いやる心をもてば、
誰だってあなたと遊ぶよ。」
「本当…？」
青年だった鬼は幼子の様な顔をして泣きじゃくる。
「本当だよ。
人の心を縛ることはできない。
自分だったらどう思うか、相手の立場になって考えるの。」
「そう…か…
ははっ…監視されている様な友達関係…なんて…
嫌だ…ね…心のどこかでは分かっていた…つもり…
馬鹿だな…僕は…」
誰にも諭されることなく、正しい道を教わることなく、
この少年は忌み嫌われる存在になり、
果てには鬼になってしまったんだ。
変われる機会はきっといくらでもあったのだと思う。
私は手を合わせ、数々の失われた命の冥福と
哀しき鬼の成仏を祈ると腰を上げた。
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狐姫(プロフ) - ハウンさん» ハウンさん、こちらこそお読みいただきありがとうございます！引き込まれると言ってくださり大変光栄です！続編も更新しましたので、引き継ぎお楽しみいただけるよう頑張りますね！ (2022年3月1日 22時) (
レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、ありがとうございます！まっすぐな煉獄さんの深い愛情が表現できていれば…と思います。これからもそんな彼を言葉だけではなく、仕草や態度での表現ができるように努めたいところです！ (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハウン(プロフ) - 素敵な作品を作っていただきありがとうございます！ものすごく感情移入してしまって胸が締め付けられるくらい引き込まれました！続編楽しみにしてます！ (2022年2月28日 23時) (レス) id: 065a2165a6 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 今日も煉獄さんが素敵だ。押し付けがましいところは一切なく、ただただ彼女の幸せを願い笑顔を作れる彼は本当に素敵。 (2022年2月28日 21時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 彼はあまり内緒話など出来なさそうですよね(笑) 巧いだなんて言っていただけて…嬉しすぎて今夜は幸せな気持ちで眠れそうです〜！いつもありがとうございます。 (2022年2月26日 21時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狐姫 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/kohime_yume
作成日時：2022年2月5日 21時
