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15.素敵な人 ページ15

「ふふふ。

 杏寿郎、優しいんだね。」



「Aは大切な仲間だからな!」


 
 言ってみても良いのかな。


 この人なら信頼できるし、


 閉じ込めていた想いを今夜だけは…



「私ね、恋人がいたの。


 私より少し年上の幼馴染だった。」



 突然話し始めたのに、

 杏寿郎は頷きながら話を聞いてくれている。



「親同士の勧めもあって

 将来はその人と結婚する予定だった。」



「結婚…そうなのか!」



「でも、彼と夏祭りに出かけた夜のことだった。


 鬼に遭遇してしまったの。


 彼は私を庇って命を落とした…


 今でも忘れられない…あの手の温もりを…」



 杏寿郎は席を立つと私の隣に腰を下ろし、


 私の頬を伝う涙を拭う。



「…おかしいよね。


 もう長い月日が経っているのに…


 時々思い出して涙が出てしまう。


 大好きだったから…」



 杏寿郎は黙って私の肩を抱き寄せた。



「思い出してあげればいい。


 忘れなくていい。


 彼を想って泣いていい。


 彼も大好きな君が自分のことを想ってくれるだけで


 きっと幸せに思う。」



 全てを受け入れてくれる姿勢に

 私は安心して余計に涙が溢れてくる。



「…ありがとう。


 私、彼の敵を討つためにも、


 これ以上大切な人たちを理不尽に失わないためにも


 鬼殺隊に入って鬼を狩ることにしたんだ。」




「そうだったのだな。


 思い出すのも辛かっただろう。


 話をしてくれてありがとう。」



 杏寿郎はそう言うと私の背中を優しくさすった。



「ううん。


 むしろ聞いてくれてありがとう。


 一人じゃ苦しくて抱えきれない部分でもあったから

 
 杏寿郎に話せて少し心が落ち着いた。」




「それは良かった!」




 こんな深い話、他人にしたことがなかった。


 杏寿郎は言葉通り、私の目からこぼれ落ちる涙を


 丁寧に丁寧に拾って拭いてくれた。



 
 こんな素敵な人だったんだ。



 今まで一緒に行動することが少なかったし、


 
 半年に一回の甘味処での近況報告では



 お互いに任務のことしか話さなかったから


 気づかなかった。
 



 彼の素敵な一面を知ることができた日だった。






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 2022.2.6 狐姫

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - ハウンさん» ハウンさん、こちらこそお読みいただきありがとうございます!引き込まれると言ってくださり大変光栄です!続編も更新しましたので、引き継ぎお楽しみいただけるよう頑張りますね! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、ありがとうございます!まっすぐな煉獄さんの深い愛情が表現できていれば…と思います。これからもそんな彼を言葉だけではなく、仕草や態度での表現ができるように努めたいところです! (2022年3月1日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
ハウン(プロフ) - 素敵な作品を作っていただきありがとうございます!ものすごく感情移入してしまって胸が締め付けられるくらい引き込まれました!続編楽しみにしてます! (2022年2月28日 23時) (レス) id: 065a2165a6 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 今日も煉獄さんが素敵だ。押し付けがましいところは一切なく、ただただ彼女の幸せを願い笑顔を作れる彼は本当に素敵。 (2022年2月28日 21時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 彼はあまり内緒話など出来なさそうですよね(笑) 巧いだなんて言っていただけて…嬉しすぎて今夜は幸せな気持ちで眠れそうです〜!いつもありがとうございます。 (2022年2月26日 21時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年2月5日 21時

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