帰る場所護る場所 (ページ32)

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タイオン×デ×キョウフページ32

Aは毒で息の止まった男たちを切り裂いた。

そして、床で気を失っている男たちの息の根も止めた。

返り血を浴びて白い肌を汚したAは刀を落とし、フィンクスとパクノダに駆け寄った。

顔を触って意識の有無を確かめるが、2人はピクリとも動かない。

『やだ、ねぇ、お願い。なんで冷たいの。』

2人は出血量が多く、その上、かなり毒が回っており、体温が下がっていた。

Aは、2人の脈を確認するがかなり弱まっている。

その現実にAの瞳には涙が溢れた。

そして、渡されたばかりの携帯で電話をかけた。

｢もしも｣
『パクとフィンクスが……どうしよう、私。』
ノ｢落ち着け、A。何があった。｣

電話に出たのはノブナガだった。

Aは何があったのかを話した。

その間もAの涙がコンクリートの色を変えている。

ノ｢よし、解毒剤はあるんだな。ならそれを飲ませてやれ。傷は深いか？｣

『かなり、血が止まらないの。』

ノ｢A、オーラを分けることは出来たな。｣

『ええ、できるわ。』

ノ｢ゆっくりでいい、2人にオーラを分けてやってくれ。仕事は終わったからすぐ帰る。いいか、落ち着いてやるんだ。｣

『分かった。やってみる。』

Aはすぐに解毒剤を飲ませた。

そして、2人の手を握りオーラを流し込んだ。

Aの体から少しづつ、2人の体にオーラが流れ込み、次第に出血量が少なくなる。

恐らく無意識のうちにオーラを体に留め回復に務めているのだろう。

2人の脈は弱いままだが、呼吸は落ち着いてくる。

しかし、Aはそれに気が付かずひたすらオーラを流し続ける。

次第にそのオーラが傷を塞ぎ始める。

『ごめんなさい……ごめんなさい…』

それでもAは、両の眼から涙を流し続けた。

その顔は血の気を失い青白い。

うわ言のように謝罪を繰り返す。

瞳だけが戦闘中と同じように爛々と輝き続けた。