帰る場所護る場所 (ページ12)

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ダッシュツ×ノ×クツウページ12

Aのいた店から島の外まではかなり距離があった。

その上着飾ったままのAと、宝や着物を抱えているおかげで、全速力で走れないため余計に時間がかかっていた。

と言っても十数分もすれば商品である人間を逃がさぬための壁にたどり着く。

フィ｢もう少し連れてきてもよかったな。どうせなら全部盗めばよかったんだ。｣

ク｢そうだな、まあいいさ。欲しいものは手に入った。｣

クロロは腕の中にいるAを見下ろした。

Aの視線の先には追手の男たち。

その中にAの念能力を奪った男がいるのだろう。ある一点をひたすらに睨みつけている。

シャ｢あー、あいつか。面倒臭い能力だな。Aは痛くて苦しいのは苦手？｣

『もう、慣れっ子でありんす。』

シャ｢身体的苦痛でも大丈夫？｣

『あい、折檻は人一倍受けていんしたから。』

シャ｢なら大丈夫だ。この壁を超える瞬間全身を死にたくなるくらいの苦痛が襲う、ただし壁の外に出てしまえば念は使えるし、痛みもない。壁を越えなければあいつの能力は解けない。｣

シャルナークは、リモコンに映る情報を読み上げた。

殺さないところを見ると、やはり商品を失うのは痛いのだろう。

それほどの苦痛、普通の人間なら怖気付いてしまう。

だがAには関係ない。

『その程度で怯むなら、この島花魁は務まりんせん。お願い、外へ出して。』

ク｢立ち止まらない。決して戻らない。今出せる最速で駆け抜けよう。｣

クロロを先頭に各々は屋根から壁に飛び移り、壁の上を走った。

高く厚い壁は、その上を走りきるだけでも数分かかってしまう。

『グッ………ぃっ……ハッ…ハッ……ウグッ…』

腕の中の体温がどんどん下がっていく。

クロロを不安がおそった。

外への距離が縮むほど全身に走る稲妻のような痛みが増していく。

ク｢よし、外へ出たぞ。｣

気の遠くなるような痛みが一瞬にして消えた。

重かったまぶたをあげると、彼らが乗ってきたであろう飛行船と、どこまでも青く広がる海があった。

フランクリンたちは荷物を持ってどんどん中へ入っていく。

ク｢これが外の景色だ。俺たちの住む場所は恐ろしく汚いが、これほど美しい場所もある。｣

『いつぶりでありんしょう。また、海が見れるなんて……』

ク｢そろそろ行こう。ホームで他の奴らが待ってる。飛行船の中にも待機組がいるんだ。｣