#誤解 ページ9
『大丈夫だよ』
そう言ったさかたんは、寂しそうな切なそうな顔に見えた。
私の頭の上で掌をポンポンと弾ませながら、くふっ……って笑う。
『行く必要、無いから』
「……やっぱり」
『……ん?』
「あの人が、さかたんの彼女?」
『……まぁ、そうだね』
小さく『ごめんね』って呟いたさかたんは、私の頭に乗せていた掌で、私の髪をワシャワシャして。
夜中だっていうのに、さかたんの瞳はキラキラ光ってて、吸い込まれそうだった。
『なんかね、誤解してるみたいでな』
「……誤解」
『ん……だから、解いとくから』
「さかたん」
『……ん?』
「大丈夫?」
『ふはっ!何、心配してくれるん?』
ずっと上がったままの口角は……なんだか張り付けた笑顔みたいに見えて。
さかたんが悲しそうにしてるのが、私は……どうしてもイヤで。
「……うん、心配だよ」
『珍しいな』
「あの人、話、聞いてくれるかな?」
『まぁ……大丈夫でしょ』
「そうは思えないけど」
『あらまぁ、厳しいのね』
「さかたん細いし、張り倒され……」
『俺も男だわ!!』
「でも心配なんだよ!」
余計に頭をワシャワシャされて。
さかたんは、くはっ!って笑う。
そんな時。
心配してたのか、慌てたセンラさんが裏口から出てきて、私とさかたんを見て固まった。
『あ、丁度良いやん』
セ「ちっ……誰だよ、連絡したの」
『まぁまぁ、それはイイじゃない』
セ「良くねえよ!!だってお前……」
『ソレはいいから、この子、ヨロシク』
くるん……と体の向きをさかたんに変えられて、センラさんの方を向かされて。
とん……と背中を軽く押された私の背中に、遠ざかってくさかたんの足音が聞こえた。
セ「おいっ!!坂田!!」
『じゃあ、行ってくるわ』
セ「……終わったら連絡な」
『はいはい、しますって』
セ「絶対だぞ!!待ってっかんな!!」
『は〜い、よろしく〜』
さかたんは私達に背中を向けたままで、その手をひらひらと振って見せて。
チラッと振り返った横顔は。
とっても綺麗で。
セ「……あんの、バカ……」
「……大丈夫かな」
セ「全然大丈夫じゃないねん」
センラさんも、さかたんの背中を真っ直ぐに見つめたまま、悔しそうな顔をしていた。
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