席替え is アンハッピー ページ5
か、かかっ。かつ。
「えー、じゃあ2番のやつ、手ぇ上げろ」
担任が番号を読み上げて名前を黒板にふっていくを、俺は肩肘ついて眺めていた。
チラリ、手の中の紙切れには24の数字。この教室の中で窓際、後ろの席というベストポジション。
(こん席替え、完全に俺の勝ちや…)
四方八方から「侑くんの隣がえぇなぁ」「ほんま！隣んなれたらもう堪らんわぁ」という女子の呟きながらを受けながら微かに口角が上がる。
(正直こうなったら誰でもえぇ…。あ、でも彼奴だけは堪忍やな、佐原だけは)
不意に前の方に座る佐原に目をやると、紙をじっと凝視しているようだった。何番を引いたんやろか。
「次、じゃあ13──────」
…おかしい。漸く俺は異変に気づき始めた。
未だ佐原の名前は呼ばれない。嫌な予感がした。こういうときの勘って当たるんか？いやでもこないな勘当たらんといて──────。
そんな思考を働かせていると、いつの間にか"最後"になっていた。
俺と同じ24番。其奴が俺の隣の席の女子になる。その、24番は。
「じゃあ最後──────お、宮と佐原か」
「えー、佐原さんずるーい！」と女子の一声から始まり、教室中がざわめき出す。後ろの席の友人が「お前、運悪いな」と笑うのを、俺は呆然と聞いていた。
「──────は？」
いや、もう、最悪やんけ。
席移動タイムを終え、隣に並べた机を整えて椅子に座る。視線だけで佐原を見れば、もう既に机の上に教科書を取り出していた。
(…はや。つーか、ホンマに機械みたいな女やな)
そんな様子を尻目に俺はため息をついた。しかし席替えは暫くはもう行われない。この始まったばかりの居心地の悪さをどうにかしようと、俺は作り笑いを浮かべた。
「隣の席初めてやんな。よろしゅうな、佐原サン」
その挨拶に佐原は大きく肩を跳ねさせて此方を見やった。ほんの少しの動揺を含んだ表情を変えずに、「よろしくお願いします」と変わらないトーンで返す佐原に、頭の中で渾身のスパイクサーブを決めてやった。
(…ホンマに、此奴気に入らへん奴や)
佐原、悪いけど、俺はお前が嫌いやで。
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あろま(プロフ) - きのこりさん» 分かりずらくてすみませんでした。ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2020年4月17日 11時) (
レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - きのこりさん» ご指摘ありがとうございます！ここなのですが、夢主が侑が何故自分を誘うのか分からず、「普通なら治くんを誘うのでは？もしかして治くんが映画が嫌いなのかな？」と思って「治くん映画嫌いなの？(だから治くんじゃくて私を誘うの？)」という意味合いで聞いています！ (2020年4月17日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
きのこり - ページ36の虫除けで、夢主が「治くん映画〜」てあったんですが、侑くんの話なので、侑くんじゃないでしょうか……。最近この話を知りました。とても楽しく読ませていただいてます。これからも頑張ってください。 (2020年4月16日 22時) (レス) id: b4f9762f22 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - アオさん» やー！本当に申し訳ないです！！確認して直しました！指摘ありがとうございます！ (2020年3月14日 22時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - あの、以前私が治くん視点なのを侑くん視点と勘違いした話なのですが、夢主の呼び方が「佐原」だったので勘違いしたので、直した方がいいと思います。今更ですみません。 (2020年3月14日 22時) (レス) id: eee0ca23b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2020年2月19日 23時
