ちかづきたい ページ28
他愛もない話をしながら歩くこと約10分。少しレトロチックな外装のカフェに辿り着いた。
「お、この時間やから空いとるな」
「そ、そうだね…」
ドアを開けるとベルが鳴って「いらっしゃいませ〜！」と店員さんが出迎える。男子と女子、という組み合わせにニコニコすると「どうぞこちらに」と窓際の席に通された。
「ではごゆっくり〜」と笑うと、店員さんは去っていった。
「な、佐原何にする？」
目の前に広がる、様々な種類のパンケーキが載ったメニューに目を輝かせて顔を上げれば、佐原は「えっ、あ」とビクリ肩を震わせて裏返った声で返事をした。「ナニニシヨウカナ」とカタコトになっている佐原に「ぷっ」と思わず吹き出してもうた。なんやん、おもろすぎやん。
「どないした！ロボットか！」
「わ、私、恥ずかしい話、男の子とこうやってご飯とか食べに来るの…、初めてで」
ちょっと、緊張が。と俯く佐原に、顔が熱くなっていく。俺はまぁ、どちらかと言えばモテるわけで、彼女もおった事はある。やから女子と飯食いに行くなんて緊張もなんもせぇへんけど。
(…俺が、初めてなんや)
佐原の言葉を聞いて、なんや変に意識し始めてもうた。佐原の初の飯食う相手が俺。そう思うとなんやむず痒くて、それでいて嬉しなってくる。
それに、飯食うだけでそないに緊張する佐原が、思ったよりも純粋で、初心で、なんや可愛い。
すっかりそれまでの余裕が無くなって黙り込んだ俺の様子に、引かれとると勘違いしたらしい。佐原は申し訳なさそうに眉を下げた。その声はみるみるうちに小さなってく。
「ごめん、…変な事言って。気にしないで」
「変もなにもあらへん。素直に言ってくれてありがとうな」
少しでも緊張を解したくて、目を合わせて微笑むと、安堵したように微笑んでくれる。
「治くんは優しいね。本当に」
いつの日かも言ってくれた、下心も、嘘偽りもない言葉。あの頃から佐原はなんも変わらん。少し不器用で、素直な女の子や。
(あかん、顔熱いわ)
恐らく真っ赤になっているやろう顔を、そっと寄せて「Aちゃん」と名前を呼ぶ。すると、途端に真っ赤になってAちゃんが顔を上げて、目をぱちくりさせて俺を見つめた。
「…佐原やと、なんや他人行儀やから。今度からAちゃんて呼んでもえぇ？」
俺、もっとAちゃんと仲良くなりたいんや。そう伝えると、Aちゃんは戸惑ったように、でも照れくさそうに「嬉しい」と微笑んだ。
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あろま(プロフ) - きのこりさん» 分かりずらくてすみませんでした。ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2020年4月17日 11時) (
レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - きのこりさん» ご指摘ありがとうございます！ここなのですが、夢主が侑が何故自分を誘うのか分からず、「普通なら治くんを誘うのでは？もしかして治くんが映画が嫌いなのかな？」と思って「治くん映画嫌いなの？(だから治くんじゃくて私を誘うの？)」という意味合いで聞いています！ (2020年4月17日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
きのこり - ページ36の虫除けで、夢主が「治くん映画〜」てあったんですが、侑くんの話なので、侑くんじゃないでしょうか……。最近この話を知りました。とても楽しく読ませていただいてます。これからも頑張ってください。 (2020年4月16日 22時) (レス) id: b4f9762f22 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - アオさん» やー！本当に申し訳ないです！！確認して直しました！指摘ありがとうございます！ (2020年3月14日 22時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - あの、以前私が治くん視点なのを侑くん視点と勘違いした話なのですが、夢主の呼び方が「佐原」だったので勘違いしたので、直した方がいいと思います。今更ですみません。 (2020年3月14日 22時) (レス) id: eee0ca23b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2020年2月19日 23時
