ムスッ ページ18
それから俺は佐原と一緒にめし食うようんなった。佐原はその度に戸惑っとったし、伊藤はいつも通りニコニコしとったけど。
「なに、また佐原たちと食べてるの」
「混ぜてやってもえぇで」
「なんで上から目線」
細い目を更に細めて訝しげに見るんは角名。俺が佐原たちと食うようなってから他の誰かと昼飯食っとったらしいけど、気になったのか顔を出してきよった。
「…角名」
すると、それまで朗らかやった佐原の顔が一気にムスッとする。え、なんやそのムスッは。
「お邪魔しまーす」とそんな佐原のムスッに気づきながら角名は輪に入ってきよった。
「あれ、佐原縮んだ？」
「縮んでない。角名が高いだけ」
「あー、始まった始まった！」
目の前の伊藤が楽しそうに笑っとる。え、この空気えぇの？
「この間の数学のテストは随分悪かったんじゃない？」
「元々得意じゃないもの。角名こそ、英語の点数低かったね」
身長の話かと思えば、今度はテストの成績で火花を散らし始めよった。というか、一方的に角名が喧嘩ふっかけとる。
「なに、自分ら仲悪いん？」
空気に耐えられず聞いてまえば「悪い」「悪いね」と同時に答えてきよった。状況把握できん俺に伊藤が解説を始める。
なんでも、1年の時、佐原と角名で席が前後であった二人。前後であったため何かとやり取りが多かったが、その中で角名が──────。
『佐原さんてめちゃくちゃちっちゃいね』
と、言ったのを一言に関係が悪化したとかなんとか。そしてお互い成績が割と似通っていたため、そこから成績を競い始めたという…。
「いや、角名が悪いやんか」
「悪気があって言ったわけじゃないし。でも本当に小さいじゃん、佐原。最初中学生かと思った」
「そういうとこやで！」
話しとるうちに昼休みの終わりは近づき、先に「邪魔したね」と角名は去っていった。それに続き「あ、係の仕事あるんだった」と伊藤も去ってく。残った佐原をチラリと見ると、食器を片そうとしているところやった。
「すまんな、角名と仲悪いん知らなかってん」
「え？あ、ううん。大丈夫だよ」
「悪いのは角名だもん」とまたムスッとする佐原。嫌っとるんやなぁ…と苦笑いしとると、躊躇い気味に佐原が口を開いた。
「…あの、さ。ちょっと言いづらいんだけどね」
「宮くん、私たちと一緒にお昼食べない方がいいんじゃないかな…って」
「え」
そんとき、始業5分前のチャイムが鳴って、その理由を問うんは叶わんかった。
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あろま(プロフ) - きのこりさん» 分かりずらくてすみませんでした。ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2020年4月17日 11時) (
レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - きのこりさん» ご指摘ありがとうございます！ここなのですが、夢主が侑が何故自分を誘うのか分からず、「普通なら治くんを誘うのでは？もしかして治くんが映画が嫌いなのかな？」と思って「治くん映画嫌いなの？(だから治くんじゃくて私を誘うの？)」という意味合いで聞いています！ (2020年4月17日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
きのこり - ページ36の虫除けで、夢主が「治くん映画〜」てあったんですが、侑くんの話なので、侑くんじゃないでしょうか……。最近この話を知りました。とても楽しく読ませていただいてます。これからも頑張ってください。 (2020年4月16日 22時) (レス) id: b4f9762f22 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - アオさん» やー！本当に申し訳ないです！！確認して直しました！指摘ありがとうございます！ (2020年3月14日 22時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - あの、以前私が治くん視点なのを侑くん視点と勘違いした話なのですが、夢主の呼び方が「佐原」だったので勘違いしたので、直した方がいいと思います。今更ですみません。 (2020年3月14日 22時) (レス) id: eee0ca23b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2020年2月19日 23時
