原因不明の感情 ページ14
あのあと、遅れて体育館にやってきたサムは、どこか機嫌がよくて尚更気分が悪なった。勢い余って上げたトスは、勿論サムに決められることなく地に落ちて。
「このポンコツが」「あ？今のはツムのトスが高すぎやろ」っちゅう言い合いから始まり、喧嘩が始めた結果、北さんに怒られるっちゅうハメになった。
その日はなんやかサムの顔が見たなくて、わざわざ2階から1階へ布団を引きずって寝た。布団に入って考えるんは、今日見たあの光景。
(…サムには普通てどういうことや)
俺は無意識のうちに「俺のこと嫌やったらサムの事も嫌やろ」なんちゅう考えをしとったが、今日それが完全否定された。
「…なんで俺の事は嫌なん？」
元来、見知らぬ人物から話しかけられるとしどろもどろする奴や。けど、俺が関わるときはどう見ても態度が違う。緊張した様子で、いつも気まずそうに、ほんの少し顔を強ばらせよる。
「もう、はっきりさせたるわ」
能面どころか、彼奴の本性暴いたるで。と俺は鼻息を荒くして布団を被り直した。
そのチャンスは予想より幾分かはよ来よった。大量のファイルを抱えるようにしながら、フラフラと廊下を歩く佐原の姿を発見した。丁度一緒に部活に行こうとしとった銀を先へ促し、俺は佐原に近づく。
佐原がバランスを崩しかけた所で、その身体を支え、落ちかけたファイルをガっと掴んだ。
「宮くん…？」
「半分貸せ」
そのままファイルの殆どをかっさらうと、背の低い佐原は"なんで"と言いたげな顔をして口をハクハク動かして「え、あ、その」
「気が向いたから手伝ったる」
素っ気なくそう言い、隣を歩くのはなんだか躊躇われて、前へずんずん進んでいく。大股で歩く俺の後ろで、小さな足音がパタパタと忙しげについてきた。
鍵を開けて資料室に入ると、埃っぽく、湿った空気が鼻に入る。少し空いたカーテンの隙間から覗く太陽光を眩しく感じながら、机の上にファイルを置く。
その音に反応すると「あ、ありがとう宮くん」と戸惑い気味に感謝を述べる。その表情は無ではなく「なんで手伝ってくれたんだろう」とでも言いたげな顔や。
(…まぁ、そやろな。あんだけ互いに言ってもうたし)
そのまま返事もせずに戸の方へ向かう。そして、これからの出来事を知りもしないで作業をし始める佐原に、目をやらずにガチャ、と扉の鍵を掛けた。
「──────え、」
振り向いた佐原を、俺は扉の前に立ちはだかって真っ直ぐに見据えた。
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あろま(プロフ) - きのこりさん» 分かりずらくてすみませんでした。ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2020年4月17日 11時) (
レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - きのこりさん» ご指摘ありがとうございます！ここなのですが、夢主が侑が何故自分を誘うのか分からず、「普通なら治くんを誘うのでは？もしかして治くんが映画が嫌いなのかな？」と思って「治くん映画嫌いなの？(だから治くんじゃくて私を誘うの？)」という意味合いで聞いています！ (2020年4月17日 11時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
きのこり - ページ36の虫除けで、夢主が「治くん映画〜」てあったんですが、侑くんの話なので、侑くんじゃないでしょうか……。最近この話を知りました。とても楽しく読ませていただいてます。これからも頑張ってください。 (2020年4月16日 22時) (レス) id: b4f9762f22 (このIDを非表示/違反報告)
あろま(プロフ) - アオさん» やー！本当に申し訳ないです！！確認して直しました！指摘ありがとうございます！ (2020年3月14日 22時) (レス) id: 0b00b944d7 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - あの、以前私が治くん視点なのを侑くん視点と勘違いした話なのですが、夢主の呼び方が「佐原」だったので勘違いしたので、直した方がいいと思います。今更ですみません。 (2020年3月14日 22時) (レス) id: eee0ca23b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あろま
| 作成日時：2020年2月19日 23時
