【銀魂】シ ュ ガ ー ポ ッ ト

sugar２２．土方十四郎 ページ24

十四郎がお風呂に入っている間、私はソファに膝を抱えながら座っていた。

不意に目の前に置いてあるガラステーブルを見れば、彼の愛煙しているマヨボロとマヨネーズのボトル型のライターが置いてある。



久しぶりに会った友達に「Aタバコ臭いね」「喫煙者だっけ？」などと言われるくらい私にもヤニ臭がしみついているらしく、その時は「ふざけんな」と思ったが、考えて見れば十四郎が近くにいすぎて臭いが移ってしまったということだ。



しかし膝を抱える腕が通っている服や髪の臭いをスンと鼻をすすって嗅いでも自分だと分からない。気付かぬ内に外からも内からも彼に染められているみたいで、そのことに優越感と満足感が湧き出てくる。



私はタバコの箱に手を伸ばし、そこから一本タバコを取り出す。唇に挟んで咥え、いつも十四郎がつけているみたいにライターを握った。

先端が赤く燃ゆり、息を吸おうとするもいきなり口からタバコが離れていく。




『……あ』




ソファの後ろで私からタバコを奪ったのは風呂上がりの十四郎だ。濡れた髪が彼のイヤラシさをより強調していて、垂れる雫が私の頬を滑り落ちる。

怒られるかな、と身構えるも十四郎は小さく息を吐いただけだった。




『吸うな。身体に悪ィから』

『どっかの誰かさんはこの害毒物を毎日美味しそうにスパスパ吸ってるのに？』




そう言って私はソファから起き上がり、背もたれに手を乗せて黙り込んでしまった彼からタバコを奪い取ろうと手を伸ばす。

しかし私の指先がタバコに触れる前に十四郎は自ら自分の口にタバコを咥えた。



薄く開いた唇から漏れる白煙はユラユラと部屋の天井まで立ち昇って、目で追いかけるも部屋の壁の白さにより見失う。「あーあ」と零れた息はそれに混じってしまったのか、十四郎の耳には届かなかったみたいだ。




『お前はこれで十分』




そう言って私の顎を掴み、斜め上から口唇を合わせる。まるでタバコと同じで私の口を吸うもんだから、このまま彼が私から口を離して息を吐くと一体何色の煙が浮かぶのか考えてしまう。

恋の色の象徴である桃か、はたまた愛の赤色か……。だが私はその答えが出る前に自分から口を離した。




『にっが』




そう、十四郎のキスはいつも苦い。だから長く唇を合わせていると顔はしかめっ面になっていくのである。

今も「うえぇ」と舌先を出す私を彼はクククと小さく笑い、慣れた手つきでタバコを口に咥えたのだ。

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