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05.丹色 ページ6

「ふざけるなよお前」

『ごめんなさい…』


突入作戦も無事に終わり、武器やら爆弾やらは全て押収し終わった。

しかしまだやり残したことがある。

このバカ犬の説教だ。


街灯の下。アスファルトの上。

俺は正座する犬飼の前に仁王立ちしていた。



「指示もなしに勝手に行動するな。
1人で突っ込むなんてもっての外だ。
結果が良ければ全て良しだと思うなよ」

『はい、すみません…』


垂れ下がった耳の幻覚が見える。

しゅんとする彼女にため息をついた。




「1度現場で使えばわかるだろう」と上は言った。

その通りだった。今回の件でよくわかった。

彼の言いたかったことが。考えていることが。


あの戦闘能力と殺気。

こいつは野放しにするには危険すぎる。

放っておけば何をしでかすかわからない。


要するに、上は俺にこう言いたいのだ。

この危なっかしい犬に首輪をつけて飼い慣らせと。

監視下に置くと同時に公安のものにしてしまえと。


確かに、この異様な才能を我が国のために使わない手はない。

敵に回さない限りは心強い。

流石、公安の上に立つ御方だ。人を見る目は格段に優れている。


しかしあんな行動は許されるはずもない。

1時間近く続く説教はまだ終わらせられない。



「大体、あんな中に飛び出して死んだらどうするつもりだ。考えなしすぎる」

『あ、あれくらいじゃ死にませんよう。それに…』


一拍置いて、犬飼が緩く笑った。



『私はあなたのために死ぬつもりですから』


「……は?」


…何言ってるんだこいつは。

なんでそこまで、という俺の問には微笑むだけで答えない。

何を考えているのか、何も考えていないのか。

それすらわからなくて、月明かりに照らされた目の奥をじっと見つめた。



「…死ぬとか、簡単に言うなよ」

『ふふ、わかりました』


それなりに低いトーンで言ったのに、相変わらず犬飼は肩を揺らして笑う。

それを見て俺はまたため息を漏らした。



面倒な奴に懐かれた。

厄介なやつを押し付けられた。


上等だ。

お望み通り完全に飼い慣らして俺のものにしてやる。

…もっとも、何故か現時点で既に相当心酔されてるようだが。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 立夏さん» んふふ!良かった!同じですね(*´▽`*) (2021年1月20日 19時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 如月.夜月(きさらぎ よつき)さん» えっっっっめっちゃいいですねそれ最高ですね!!!??(笑)私もめちゃくちゃ見たいです!!!!!!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ムースさん» わ〜!そんなにたくさん読んで頂けるなんて本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 安室さん(怪我)、狂犬ちゃん(真顔)にお姫様抱っこされてほしいな… (2021年1月17日 13時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ムース - 3周目です!好きすぎる! (2020年12月12日 21時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年7月6日 23時

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