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32.東雲色 ページ34

「わざわざありがとな」

Aの隣に行ってそう声をかければ、彼女は一瞬目を丸くして曇りない笑顔を浮かべる。


『はいっ!』


あぁ、くそ。相変わらず良い顔で笑うなこいつ。

不覚にもドキッとしてしまって、ふわふわの髪をかき回しながら目を逸らした。


「なんでこんなやつに…」

『え?』

「なんでもない。ていうかお前、料理できたんだな」


無理やり話題を変える。

Aはそれを聞き、んーと首を捻ってから、清々しいほど爽やかな笑顔で答えた。



『料理が出来ると毒での暗殺に使えるって聞いて極めました!』

「「「「ごほっっ」」」」


それを聞いていた全員が見事にむせ込んだ。

俺も箸を落としかけた。


はぁ!?暗殺!?

な、なんつー理由で料理してんだこいつ…!!

その反応を前にAが慌ててわたわたと手を振る。



『いやいや今回は毒とか入れてないですよ!?』

「当たり前だ!!」


気管に食べ物が入った者達の間でバケツリレーの如く麦茶のペットボトルが回される。

やっぱり危なっかしい奴だな…今回はって、いつか入れる予定あるのかよ。

茶を入れるのがうまいのも同じ理由か…こわすぎ。

しかし未だ慌てた様子のAは続けた。


『き、きっかけはそうでも、今は普通に楽しいからやってますよ!?
美味しいものは人を元気にしますから!』

「そ、そうか…」


それを聞いてひとまず安心する。

そういえばこいつの趣味なんて初めて聞いたな。

俗世に疎いし、特に好きなものも得意なものも知らなかったけど、料理とはかなり意外だった。

にしても毒ねぇ…



「お前、潜入先で変なもん食べたりしてないだろうな?」

『大丈夫ですよ、毒なら匂いでわかります』

「鼻まで利くのか…」


ますます犬だな、と思いながら唐揚げを頬張った。

うわ、うまい…腹立つくらいうまい…


よし、また今度お礼も兼ねて、俺からこいつに弁当を渡そう。

とびきりうまいのを作り返してびっくりさせてやる。

そんなことを考えながら、ふと頭をよぎった何年も前に交わした約束に思いを馳せた。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 立夏さん» んふふ!良かった!同じですね(*´▽`*) (2021年1月20日 19時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 如月.夜月(きさらぎ よつき)さん» えっっっっめっちゃいいですねそれ最高ですね!!!??(笑)私もめちゃくちゃ見たいです!!!!!!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ムースさん» わ〜!そんなにたくさん読んで頂けるなんて本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 安室さん(怪我)、狂犬ちゃん(真顔)にお姫様抱っこされてほしいな… (2021年1月17日 13時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ムース - 3周目です!好きすぎる! (2020年12月12日 21時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年7月6日 23時

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