(47)常識知らず ページ48
「暑ぃ………」
8月半ばのある日。
エアコンが効いてた美術準備室から出ると、廊下にはこの時期特有のムワッとした空気が漂っていた。
頼むから俺らにも夏休みをくれ校長。
土日の休みとお盆休みしかなかったわまじで。
美術室やら美術準備室がある4階から、職員室がある2階へ行こうと階段をおりる。
夏休みの補講やらなんやらは全部午前授業のため生徒ももう残っていない。
私立なら廊下にもエアコンつけようぜ。
暑い空気をかき分けるように階段をおり、踊り場がちらりと見えたその時、俺は反射的に足を止めた。
「(綾瀬…?)」
しっかり見えはしないが、あの髪色と制服の着崩し具合はたぶん綾瀬。
だがちゃんとその姿は見えない。
……綾瀬の目の前に迫っている男子生徒のせいで。
学校でイチャつくなよあいつら。
しかもこんかクソ暑ぃ廊下で。
帰ってからやれよそういうのは。
だからってさすがに男女のお楽しみの空間の横をズカズカ通るほどデリカシーのない人間じゃない。
別の階段を使おうと現場に背中を向けた。
が、耳に入ってきた綾瀬の声。
「…っ、やめ……」
「…!」
よく見ると綾瀬は男子生徒に手首を壁に押えつけられていて、彼のもう片手は綾瀬の開けたブラウスの胸元へと伸びていた。
解かれたのであろうネクタイは力なく足元に落ちている。
理性がきかなくなったのであろう、その男子生徒はほぼ強引に綾瀬に口付ける。
小さな手が男の胸板を押すも、そんなの微々たるものでしかなく。
「……ん、っ…はぁッ………」
なかなか離れない唇の隙間から酸素を必死に取り入れようとする綾瀬の顔はかなり苦しそうで、頬も火照り涙目になっている。
今この状況だと、そんなの相手を煽る要素でしかないんだろうけど。
そんな綾瀬の歪んだ表情を見て、思わず止めに入ろうとしたがその考えはすぐに捨てた。
さすがに男子生徒気まずいだろうし。
そして俺は別の方法でどうにかしようと踵を返した。
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絵宙(えそら) - (伊黒先生可愛すぎる…言ったら殴られるかネチネチ攻撃されるけど)←※これは心の中です。 (2020年4月22日 15時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
零華 - ポテ岡義勇で腹筋崩壊したよ☆昨日今日で何回腹筋死滅するんだろうか....(;-;)ピエン (2020年4月22日 15時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
零華 - 何かを心配する伊黒先生は笑えるwそして、さねみんのシュークリームを食うのは、さすがに気もが座りすぎだと思う(((ToT)))ガクブル (2020年4月21日 21時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - あああ、すこだ、これはすこ。すこすこのスコティッシュフォールドだ。 (2020年4月21日 14時) (レス) id: 48dd1996d3 (このIDを非表示/違反報告)
(*・*) - できちゃった系? (2020年4月20日 16時) (レス) id: 95accb8743 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜 | 作成日時:2020年4月6日 16時