王と騎士とお姫様【月永レオ】 (ページ19)

今日:4 hit、昨日:17 hit、合計:124,692 hit

サマーライブとプリンセスライブページ19

中央ステージで輝くのは、Trickstar

真緒くんがいるユニットだ。

どうやら合同ライブも終盤にさしかかっているようで、周りの人達が、Trickstarが良かった！、いやいやEveでしょ！と口々に感想を述べているのが耳に届く。

そろそろだ、と固まってしまう足にムチを打ち、観客席から立ち去る。
大きめのパーカーのフードを深く被り、顔を隠し、衣装も隠し、急ぎ足で舞台裏に戻れば、そこに彼らはいた。

「全く、少しだけって言ってどんだけゆうくんを見てるつもりぃ？ほんと、チョ～うざぁい。」

「まあまあ、泉ちゃんいいじゃない！Trickstarのライブのおかげで、Aちゃんも、少しは実感してきたでしょ？自分があのステージで歌って踊るのを♪」

「ふぁ〜ふ…A、帰ってくるの遅いから楽屋戻って寝ようかと思ってたところだよ。ナイスタイミング〜…♪」

「お、お姉様！良かったです！帰ってくるのが遅かったので…司、お姉様がdangerな目にあっているのかと心配で心配で…」

黒髪騎士はあたしに抱きつき、お姉ちゃん系騎士はあたしにメイク直しをし、末っ子騎士は衣装の不備がないか見定め、ツンデレ騎士はあたしの髪を櫛でといていく。

＜さぁさぁみんなお待ちかね！我らのお姫様をお披露目するときが来たみたいだよ！！＞

MCをしている明星くんが、お客さんに手を振りながら語りかける。

その瞬間、Knights推しの"お姫様"達はキャーと歓声を上げる。

大丈夫だろうか、本当に。男の子たちで成り立っていたユニットに、女のあたしがいて。
Knightsの人気が落ちたりしないだろうか。

不安になり、自分の出番が近づくにつれて、下を俯かざるを得なくなる。

すると、銀髪の彼は目の前でひざまづき、あたしの片手を取り、そっと自身の口元に寄せキスを落とす。初めてあった時のように。

そしてその伏せられた顔をあげれば

"大丈夫、何があっても俺たちがあんたを守ってみせる"

周りを見れば、３人の騎士も当然！と凛とした顔つきを見せてくれる。

それに答えるように微笑めば、いつの間にか、TrickstarもEveのみんなも舞台袖に集まっていた。

Eveの皆さんなんて初めましてなのに、君ならできる！大丈夫だよね！って励ましてくれる。

明星くんに、俺たちのお姫様ならいけるよ！と背中を押され、騎士に手を引かれスポットライトが照らすステージに足を踏み入れれば、さっきとは桁違いの、より一層大きな歓声があたしを迎えてくれた。