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初めて会話をしたあの日のことなんて、きっとこの人は覚えていない。


ほんの少し、言葉を交わしただけだったから。


目の前で微笑みながら、私の頭を撫でる先輩を見て、ぎゅっと胸が苦しくなる。痛くなる。



この苦しみを、痛みを感じるのはもう何回目なんだろうか。



A組の、あんず先輩に可愛くなる秘訣を聞いたり、この機会にってライブを提案してもらって告白のきっかけ作りをしてもらたっり。


みんな至れり尽くせりなのに、私だけ。私だけ、前に進めない。



「そういえば」


『…はいっ?』



ふと、喋り始めた先輩の手が離れていく

それに寂しさを覚えたけど、私はこの気持ちを押し殺して、にぱっと笑ってみせた

笑顔の良さは兄譲りだから。



「ライブ、するんだってね。チケットありがとう、絶対いくから。」


『!!!』



頬杖を着いた先輩は、ゆったりとまた微笑んだ

この人は微笑みが似合う人だ、羨ましい。…そんなところも好きです、なんちゃって。



『絶対、ですよ……約束ですからね!』


「うん、約束。…指切りげんまんでもしとく?」



そう言ってそっと小指を差し出してくるもんだから、私の顔に一気に熱が集まった。

触れてもいいのだろうか、私なんかが。


自虐っぽいことを思ったけど、この際触れてしまえ!と下心ありで小指を搦めた



「指切りげんまん、嘘ついたら…どうする?」


『ええ、それ私に聞くんですか……うーん……』


「……じゃあ、俺はあんたの言うことなんでも聞くよ。」


『え……』




辞めてくださいよ、そんなこと言うの。

それは罰ゲームなんかじゃない。私にとってはチャンスになっちゃうから。


来ないで欲しい、なんて。最低すぎだ。



「うそうそ。…嘘ついたらセッちゃんにドッキリしかける、ね。」


『〜っ!!それはそれで見てみたいんですけど!』


「ええ〜…?Aって案外Sっ気あるんじゃない…?」



そんなことありません!とムッとしていえば、「ほら笑って」と頬を摘まれて、横に引き伸ばされる


伸びます伸びます、頬が伸びていきます。




「大丈夫だよ、何があっても俺は見に行くから。チケット貰っちゃってるしね〜…?」



『嘘ついたらセッちゃん先輩にドッキリ。これも約束ですよ。』



「うわぁ……やっぱり撤回してもいい?」



私はダメです!とばってんを作って、笑ってみせた。

凛月先輩がそれに釣られたのか、珍しく微笑みじゃなくて笑顔を見せてくれたのは私の一生の思い出。

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苺ミルク飴(プロフ) - すごく面白かったです!!!続きがとても気になります!!更新、楽しみにして待ってますね!頑張ってください!応援してます! (2021年12月14日 20時) (レス) @page31 id: 976df8db05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なこ x他2人 | 作成日時:2019年7月26日 0時

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