27歳[2] ページ19
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「すみません。お待たせしました」
「ん。大丈夫〜。仕事平気?」
「はい」
たまたまカフェで会ってから数週間、三ツ谷さんとディナーの約束をしていた。
「お酒は平気?」
「はい。明日はオフなんで軽くなら」
「食べれないのとか飲めないのある?」
「好き嫌いは無いんで大丈夫です」
ウェイターに注文する姿は慣れてるようだった。
話は半年後のショーについての仕事の話しをした。
細かい打ち合わせはまた今度する事になる為その後はファッション業界の話で盛り上がった。
食事もお酒も進んだころ三ツ谷さんがジッとこっちを見て黙った。
「?何かありました?」
「灰谷とさ、なんで別れたの?」
「え?」
「いや、灰谷めっちゃ執着強そうだったから」
「そんな事ないですよ。最後は彼の浮気でしたし」
「そうなの?」
「まあ、原因は私にあるんで責める事も出来ませんでしたけど」
「へぇ」
ワインを口に流し込んだ。
「子供の頃は何をするにも親の同意が必要で早く大人になって自由に好きな事を好きなだけしたいって思ってました」
自由に出来るお金もなく、学校も親に頼んで入れてもらった。
反対されてたわけでもないがそれでも窮屈さを感じていた。
「でも大人になって責任とか他との調和を考えるようになって、自分一人の考えだけで動く事がどれほど大変なのかがわかったんです」
三ツ谷さんはただ黙って聞いてくれていた。
「竜胆から結婚の話しが出た時、横浜のショーのトラブルがちょうど重なって」
「あー、あん時ね。あん時は俺も寝ずに走り回ったわ」
同じ現場だった三ツ谷さんもそのトラブルに巻き込まれた。
「彼のプロポーズを蔑ろにしちゃったんです」
「あー」
「すぐに謝って事情を話せば良かったのかもしれませんが私は彼との未来と自分の夢を天秤にかけてしまったんです」
「ずっと頑張ってきた仕事だもんなぁ」
「竜胆は意外と子供好きなんですよ。弟だからなのか逆にお兄ちゃん振りたいみたいで。学生の時に迷子の子を見つけて肩車で親御さん探してる彼を見て良いなぁって思ったんです」
竜胆と仲良くなる前の出来事で竜胆も知らない。
「だから私とは一緒にいない方が彼の為なんです」
「Aちゃんさ、もっと欲張りになりなよ。Aちゃんの人生でAちゃん以上に大事なものはないんだよ?」
三ツ谷さんの言葉が胸に刺さった。
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月華(プロフ) - チヅさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けたなら良かったです!他のお話で気に入って貰えるのがあると良いんですが。 (2022年9月13日 7時) (レス) @page28 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
チヅ(プロフ) - メチャメチャ楽しかったな〜(^^)他のお話も読んでみようと思います(^^) (2022年9月13日 1時) (レス) id: eeaef92f1e (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - ふらんそわ。さん» コメントありがとうございます。竜胆は子供と肩車似合いそうだなって勝手に妄想しました😁 (2022年4月4日 8時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんそわ。 - 私も竜胆に肩車してほしーなー…😏 (2022年4月4日 1時) (レス) id: ce685a0196 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華 | 作成日時:2022年3月11日 0時