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其ノ肆拾壱 ページ43

Aside

「着なきゃ駄目?」

「……いや、着たくないのなら、着なくてもいい。」

龍くんが少し悲しげな表情を見せる。

こんな表情されたら、着るしかないでしょ。

ってか、龍くん居なくなったら、直ぐ着る心算だったし。

ただ、新しいパーカーを着ると云うことは、今着てるパーカーを脱がなくちゃいけない訳で……

顔を露出することになる。

あんまり人に……特に龍くんには顔を見せたくない。

「此方見ないでよ?」

それだけ云って、龍くんに背を向ける。

着てたパーカーをその辺に投げて、新しいパーカーのタグを切る。

新しいパーカーを着て直ぐにフードをして振り返る。

龍くんは、私の云いつけを守って、後ろを向いていた。

……律儀だなぁ。

「もういいよ。如何?似合ってる?」

「嗚呼……何時もと雰囲気が変わるな。」

「その言葉、そっくりそのままお返しするよ。」

双方何も云わない、穏やかな無言の時間が続く。

私はこの時間が好きだ。

なので、壊したくはないのだが……まぁ仕方ない。

「却説……ここからは、一寸真面目な話だよ。」

空気が冷えるのを、肌で感じた。

そこに先程までの穏やかな空気感は一切無い。

マフィア特有の仕事モードだ。

「人虎捕獲についての資料が出来た。
目、今すぐ通してくんない?」

出来たてほやほやの資料を、龍くんに手渡す。

龍くんは、丁寧かつ迅速に資料に目を通していく。

分厚い資料にものの数分で目を通した龍くんは、それを私に返してくれる。

「昼の時、作戦実行は今日からって云ったよね?
悪いんだけど、今から鏡花ちゃんの処に行って。
今の太宰サンの写真も用意したから。
鏡花ちゃんに持たせておいてね。」

太宰サンの写真と資料を渡す。

龍くんの目が幾分か輝いていることは、無視しよう。

「じゃあ、宜しく。
姐さんと、梶井の処には、明日行く。
涙くんの挨拶まわりと一緒にね。
あ、龍くんの処にも行く心算なんだけど……
明日、空いてる?」

龍くんは、天井の方を眺めながら、黙り込む。

明日の予定でも思い出しているんだろう。

「……ならば、午前中に来い。」

「了解。それじゃあ、鏡花ちゃんのこと、宜しくね?」

「嗚呼……また明日な。」

「うん、おやすみ〜」

龍くんが部屋を出た後、直ぐに鍵をかける。

「……寝るか。」

疲れていた私は、闇にとけるように眠りについた。

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舞花 ひめ(プロフ) - 櫻色華伝さん» コメント有難う御座います!涙香くん、可愛いですよね!私もデレデレしながら書いてます(( これからも頑張って更新させて頂くので、これからも宜しくお願い致します。 (2020年1月8日 10時) (レス) id: 56c3681e86 (このIDを非表示/違反報告)
櫻色華伝(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!夢主(私は累-かさね-ちゃんとしてます)LOVEの涙香くん可愛すぎる!応援してます。更新頑張ってください! (2020年1月7日 15時) (レス) id: bb11e6ace8 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!頑張って更新させて頂くので、楽しんで頂ければ幸いです!▼とあるヰ琉兎さんも、頑張って下さい!応援してます! (2019年4月3日 22時) (レス) id: 95f7a369ce (このIDを非表示/違反報告)
▼とあるヰ琉兎(プロフ) - 首領の意味深な発言や芥川との関係が良かったです!!この先どう進んでいくか気になります。更新楽しみにしてます!!これからも、応援してます(´ω`*) (2019年4月3日 21時) (レス) id: ff0f774975 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年3月1日 7時

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