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其ノ弐拾捌 ページ29

Noside

「……と云うか、殺す心算なら、とっくに殺してると思わない?」

Aは、呆れたように溜息を付く。

「私は、涙くんの事を気に入ってるんだよ。
私は、私情を挟んでも問題無い程度の地位があるからねぇ。だから、殺さなくったって問題無い。」

ずっと涙香に背を向けていたAは、振り返って涙香を見据える。

「だから、後は涙くんが決めることだよ。
此の先、涙くんが如何生きたいか……
どんな道に進むにしても、援助してあげる。」

涙香は、戸惑った。

ポートマフィア以外で生きる手段を知らない上に、Aがこんなことを云う理由も分からなかったからだ。

「何で……」

「その問いの答えは、先刻(さっき)云った筈だけど?」

涙香の疑問を遮って、Aは言葉を紡ぐ。

「君の事を気に入ってるから。
私が君を助けるのに、此れ以上の理由は無い……」

此の時、涙香はとある事を思い、そして決心した。

「俺は……アンタに着いて行きたい。」

真っ直ぐAを見詰める涙香。

フード越しでも、その瞳の真剣さは伝わって来た。

「決して、楽な道じゃ無いよ?
…………良いんだね?」

涙香は、力強く頷いた。

Aは口元を緩ませ、

「そう云えば、自己紹介してなかったよね?」

先程より、幾分かトーンの高い声でそう切り出した。

「私の名前は、夏樹A。
ポートマフィアで、首領補佐をしてる。
宜しくね……涙くん?」



ポートマフィア本部に戻るまでに、Aと涙香は、様々な話をした。

首領補佐と云う立場について……

今後使用する部屋や執務室について……

互いの異能力や、その他得意な事等について……

挙げていけばきりがない。

その間に、涙香はタメ口と名前呼びを許可(と云う形で強制)されていた。

「涙くん、人殺したこと無いでしょ?」

「……嗚呼。」

「矢っ張りね……
犯人の遺体を見た反応でそうだと思ったんだ。
……これからも、人を殺すのは禁止ね?」

「何でだ?」

「紺ちゃんが守ってきた君の純白を守りたい。
でも、そうだなぁ……
若し、私が君を裏切るようなことがあれば……
その時は、私を迷わず殺してね。
私も、君が私を裏切るなら、迷わず殺すから。
…………いいね?」

「分かった。でも、安心しろ。
Aが俺を裏切ることがあっても、俺はAを裏切らない。」

……随分と慕われたものだな。

ポートマフィア本部を遠くに見据え乍ら、Aはそんな事を考えた。

黒岩涙香について→←其ノ弐拾漆



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舞花 ひめ(プロフ) - 櫻色華伝さん» コメント有難う御座います!涙香くん、可愛いですよね!私もデレデレしながら書いてます(( これからも頑張って更新させて頂くので、これからも宜しくお願い致します。 (2020年1月8日 10時) (レス) id: 56c3681e86 (このIDを非表示/違反報告)
櫻色華伝(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!夢主(私は累-かさね-ちゃんとしてます)LOVEの涙香くん可愛すぎる!応援してます。更新頑張ってください! (2020年1月7日 15時) (レス) id: bb11e6ace8 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!頑張って更新させて頂くので、楽しんで頂ければ幸いです!▼とあるヰ琉兎さんも、頑張って下さい!応援してます! (2019年4月3日 22時) (レス) id: 95f7a369ce (このIDを非表示/違反報告)
▼とあるヰ琉兎(プロフ) - 首領の意味深な発言や芥川との関係が良かったです!!この先どう進んでいくか気になります。更新楽しみにしてます!!これからも、応援してます(´ω`*) (2019年4月3日 21時) (レス) id: ff0f774975 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年3月1日 7時

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