検索窓
今日:20 hit、昨日:11 hit、合計:121,460 hit

其ノ弐拾弐 ページ23

Aside

「首領〜」

シャワーを浴びて、涙くんの家族について少し調べた後、報告の為に首領室に来た。

例のごとく、黒服を困らせて。

夜遅くだからか、エリス嬢の姿は見えなかった。

「報告です。敵は殆ど殺しちゃいました。
掃除班の要請を御願いします。
それで、長だけ生け捕りにして帰って来ました。」

「その後、拷問まで済ませてきたのかい?」

「いえ、してません。」

満足気に聞いていた首領は、不思議そうに首を傾げた。

「如何してだい?」

「理由は二つ。
一つ目は、異能力者だったからです。
申告はしてなかったようですが……
情報入手に特化した異能力で、使えそうなので。
二つ目は、裏切った理由が脅しだったから。
本人の意思ではないとのことです。
事実確認は、半分くらい済んでいます。
多分、間違いないかと。」

私は首領の前に、三人分の……涙くんの家族の資料を置く。

「成程ねぇ……それで、如何する心算なんだい?」

「願わくば部下にしようかと。
私、直属の部下がいないので。
欲しかったんですよね〜!
……と云うか、憧れてたんですよ。」

そう……今回、涙くんに復讐を持ちかけた一番の理由はコレ。

異能力は使えそうだし、洗脳の知識もある。

有能なわりには、従順そうだし……

どっかの誰かじゃないけど、本当に良い駒。

其れに───────────

「君に任せるよ。部下にするのも構わないから。」

「有難う御座います。それでは……」

一礼して、部屋を退出しようとすると、

「おやすみなさい。」

後ろから、優しい首領の声が聞こえた。

その声に歩みを止めた私は、

「……おやすみなさい、首領。」

振り向かずにそう返事をし、今度こそ退出した。



Noside

Aが出て行った後の首領室はやけに静かだった。

森は、Aが置いていった資料に目をやる。

「大切な姉の為に、自らの命を投げ出す……
随分と素敵な家族愛だねぇ。
それとも、家族というのは、皆そうなのかい?」

返事の返って来ない疑問を反芻するように、瞳をゆっくりと閉じ、顔を上に向ける。

「私は、あの子の為に命をかけられるだろうか。」

目を静かに開けた森の表情は、どことなく寂しそうだ。

「少なくとも、あの子は……
私の為に、命をかけてはくれないだろうね。」

ゆっくりと扉に顔を向けると、

「あの子は、何時……私を殺す心算なのかねぇ?」

そう小さく呟いた。

其ノ弐拾参→←其ノ弐拾壱



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (69 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
138人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

舞花 ひめ(プロフ) - 櫻色華伝さん» コメント有難う御座います!涙香くん、可愛いですよね!私もデレデレしながら書いてます(( これからも頑張って更新させて頂くので、これからも宜しくお願い致します。 (2020年1月8日 10時) (レス) id: 56c3681e86 (このIDを非表示/違反報告)
櫻色華伝(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!夢主(私は累-かさね-ちゃんとしてます)LOVEの涙香くん可愛すぎる!応援してます。更新頑張ってください! (2020年1月7日 15時) (レス) id: bb11e6ace8 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!頑張って更新させて頂くので、楽しんで頂ければ幸いです!▼とあるヰ琉兎さんも、頑張って下さい!応援してます! (2019年4月3日 22時) (レス) id: 95f7a369ce (このIDを非表示/違反報告)
▼とあるヰ琉兎(プロフ) - 首領の意味深な発言や芥川との関係が良かったです!!この先どう進んでいくか気になります。更新楽しみにしてます!!これからも、応援してます(´ω`*) (2019年4月3日 21時) (レス) id: ff0f774975 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年3月1日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。