【不知火一樹】ふりむいて不知火part1【Starry☆Sky】 (ページ19)

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ストーリー 18 ○ ページ19

月子side

あんこたっぷりついたおはぎを私が頬張っていると……

あ「颯斗はおはぎ食べないの？」

颯斗「えぇ。あまり得意ではないんです」

月子「食わず嫌い……とか？」

颯斗「何度か食べたことはありますよ。
でも、それがいけなかったんでしょうね」

あ「どういうこと？」

颯斗「僕がおいしそうに食べてみせたものだから、
おはぎが好物だ思い込んだのでしょう。

だから、先生はいつも僕に労いの意味で
おはぎを差し入れてくれるんだと思います」

微笑みを浮かべると、
颯斗君は私が入れたお茶を一口飲む。

颯斗「おいしいです」

月子「ありがとう……」

なんだか少し切ない気持ちになった。
それは、「おいしい」と言ってくれた颯斗君の
笑顔が完璧だったから……。

A先輩もおはぎをかじり、
お茶を一口飲んだとき、少し驚いた顔をしていた。

私のお茶はおいしくない。

保険係でもある私は、
職務怠慢気味な保険医の先生のために
毎日のようにお茶をいれているけど、
おいしいと言われたことはない。

いつも『マズイ』と言って飲んでいる。

優しい気遣いをしてくれる颯斗君の横顔は、
同い年とは思えないほど大人びて見える時がある。

あんまり本音を見せない颯斗君。
同い年なんだし、
何かあったら話してもらいたいって思うんだけど……