不良=恐怖とは限らない。【男主】

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グイッと持ち上げられる自分の体。
横たわらせられた屋上の地面に血が広がる。

血の流し過ぎで意識が朦朧としていく。


『…ｾﾞｪｾﾞｪ…』

「モヒート…！直ぐに病院に連れていきますからね…！」


バーボンが少しでも出血を押さえる為にネクタイを強く縛った。
俺の体を抱き上げ、傷に響かないようビルを駆け下りていく。

俺はバーボンの腕の中、微かに揺れる気持ちよさと貧血で意識が朦朧としている事が相俟って意識が飛びそうだった。



✱



視点:降谷


たらり、と彼の左腕が垂れた。
俺はハッとしてモヒートの顔を覗けば目を閉じて意識を失っていた。

血の流し過ぎで貧血を起こしている為か顔の血色も悪い。


「風見!!!」

「あ、はい！…ふ、降谷さん…彼は…」

「このまま病院へ連れて行く。この場は心許ないがFBIの指示を仰げ!!!」

「は、はい!!!」


自分車の後部座席に横たわらせ、心許ないがシートベルトを装着させ、万が一落ちないようにした。

赤色灯を付けサイレンを鳴らして、緊急車両として道路へ出る。
その為、前を走る一般車が避けて停車する。
こういう時の日本人の行動はとても嬉しく思う。

直ぐに病院に着き、モヒートを抱えて駆け込んだ。
看護師が俺の焦りようを見て何事かと近づきてきた。
俺は直ぐ様警察手帳を見せ、彼を頼む。

直ぐ様ストレッチャーに乗せられ、手術室へ向かっていった。


prr…

「俺だ。そっちはどうだ。」

【はい、順調に制圧中です。幹部はもういないかと…】

「そうか、…モヒートは今手術中だ。彼の対処については今後伝える。」

【分かりました。】


風見との電話を終わらせ、俺は看護師の案内のもと手術室の前まで来た。
今もまだ点灯している"手術中"の文字。

途中、看護師が来て怪我の事を聞かれたが大丈夫だと伝えた。Aの方が今辛い思いをしているから俺が先に楽になっては駄目だ。


✱



"手術中"の点灯ランプが消え、終わった事が知らされた。
直ぐに執刀医が出てきた。


「一応、命は取り留めました。」


それを聞いてホッとした。が、執刀医の顔は少し浮かない顔をしていた。


「しかし、銃弾が神経をやってしまいまして左腕を上げるのが困難になるでしょう。」

「…そうですか。命あるだけで充分です。ありがとうございます。」


医師に一礼をする。
手術室から出てきた彼は個室へと移されていった。


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