第91話 ページ2
〜そらるside〜
今日が約束の2週間後
変わらず病室の中は無機質な機械音と所々苦しそうなAの呼吸音だけが聞こえてくる
気のせいかもしれないけど、昨日よりAの動きが大きくなってる気がする
体を拗らせたり、首を振ったり、足が動いたり
その動きは次第に激しくなっていく
何かから逃げ出すような、そんな動きに変わる
『は、ぁ…はあ、っ!…あ"っ、…ぅ"…っあ"ぁ"!!っは、ぁ…………ぐ、あ……』
そ「A?A!?大丈夫か!!A!!!」
坂「……そら、る…さん…?」
そ「坂田!!坂田!先生を呼んできてくれ!!Aが……!」
坂「ん、っ…はい、わかりました」
ま「そらるさん…?Aちゃん…どうかしたんですか…?」
そ「発作…」
ま「発作…ですか?」
そ「今までよりも一番ひどい発作が…今……A……頼む……頑張ってくれ……………」
まふまふが目を覚ましてから次々とみんなも目を覚まし始めた
ドタバタと医者たちが駆けつけて急いで点滴をつける
ゆっくりと呼吸は整いあんなに苦しそうに動かしていた体も静かになっていった
この状態が続けば残り数時間で目を覚ましてくれるだろうと、医者に言われた
あと数時間
俺たちの数時間は、Aが目を覚ますまでひたすら待ち続ける
じゃあ、Aの数時間は一体なんなのだろう
Aは残り数時間、何かから逃げ続けるのだろうか?
ぐらりと視界が揺れる
そ「っ、あ……?」
ま「そらるさん」
そ「……疲れてるんだ、あまり揺らさないでくれ」
ま「そらるさん、何考えてたんですか?」
そ「…数時間、Aは何してんのかなって」
ま「あんなに苦しそうにしてたんです……きっと、穏やかな数時間ではないんじゃないでしょうか」
そ「だよなぁ……こんな幼い体で、たくさん背負いすぎたんだ、きっと今も変な使命感に駆られてるんだろうよ…」
一度は家を投げ出した俺だけど、Aのことは誰よりも愛してる
Aが抱え込みやすいことも、正義感が強いことも、まだまだ子供なのに変に大人じみたとこがあるとこも、甘え下手なことも
それを全部受け止めるのが兄としての役目、あの時兄として最低の行動をした時から、俺はずっと思ってた
Aがもっと普通の家の子だったら
ちょっとばかしいい家に生まれたばっかりにあんな目にあって
だけど、あの家に生まれてくれたから、俺がAのたった1人の家族で、兄になれたから
悔しいけどちょっと嬉しい
そ「…俺はお前の兄だから、お前が幸せになってくれればって思うんだよ」
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狐。(プロフ) - これやばいです…後半泣きましたもん…初めて小説で泣きました…。もうこれずっと読み続けます!!頑張ってください! (2019年7月28日 1時) (レス) id: ebf3b91b93 (このIDを非表示/違反報告)
空夜(そらよ)(プロフ) - ひよさん» コメントありがとうございます!このお話で涙してくれるなんて…本当にありがとうございます!これからも頑張らせていただきます! (2019年4月24日 17時) (レス) id: 5a4020227a (このIDを非表示/違反報告)
ひよ - コメント失礼します めちゃくちゃ感動もんじゃないですかこれ…目覚めたシーン涙止まらないです…ほんとに…もうすきです…初めて小説で泣きました…ほんとにこれすきですありがとうございます(;_;) (2019年4月22日 0時) (レス) id: cb70b4fbad (このIDを非表示/違反報告)
空夜(そらよ)(プロフ) - まっちゃらてさん» コメントありがとうございます!これからも読んでいただけるように頑張らせていただきますね!(誤字すみません!今訂正させていただきました!) (2019年3月12日 12時) (レス) id: 5a4020227a (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃらて - やばいです…なんかやばいです…このお話ずっと読みます。(93話 そらるさんのセリフで、「ごまだ」になってます。多分ですが「ごめんまだ」でしょうか?) (2019年3月10日 19時) (レス) id: 2fd4d4aade (このIDを非表示/違反報告)
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