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脱走の企て ページ24

その日の夜のことだ。

あの後、再び豹変したカリム先輩の指導の下

昨日の夜より厳しい魔法の訓練が行われた。

寮生の不満が、口に出されるくらいには蓄積されている。

僕の仮定が正しいとしたら

犯人の目的は、これ…なのか。

何のために、そんなこと。


と、そういう思考はさておきだ。

グリムが、昼間に懐に忍ばせていたものを取り出していた。


グリム「聞いて驚け。

俺様は脱出に必要なアイテムを昼間入手した。

見ろ、これを!」


そう言って見せてきたのは、ご飯の時に出されていたスプーンだった。

グリム曰く、これで床を掘って外に出るらしいが

言っていいか?馬鹿なのか?


『そんなの、何か月かかるのさ。』


グリム「地元じゃ穴掘り名人と呼ばれてたグリム様にかかれば

そんなに時間はいらないんだゾ!

お前は誰か来ないか外を見張ってろ!」


『…まぁ、何もしないよりはましだけどね。

わかった。頼むよ。』


扉に耳を当て、足音と気配に注意を向ける。

その間にも、グリムは床を掘り進めていた。

案外削りやすかったらしく、ご機嫌で床を削っていた。

絶対すぐ飽きるんだろうな、グリムだし。


と、思っていたが案の定で

一時間も経たずに飽きてきたのか

不服そうな顔をし始め、手が止まってしまった。


『…代わろうか。』


グリム「ふなぁ…頼むんだゾ…」


それから、見張りが来ては寝たふりをして

通り過ぎて行ったら作業再開。

それを何度か繰り返し

夜が明ける頃には、ようやくグリムの両腕が通るくらいの穴が掘れた。

そう、完徹である。


『脱獄は1日にしてならず…とは言うけど

これが毎日と思うと、気が滅入る…』


グリム「ふなぁ…これからまたどうせオアシスに行進なんだゾ…眠い…ぃ…」


『…今日は、僕一人でやるよ。

グリムは休んだ方がいい。ただでさえ昼間の特訓で疲れてるんだから。』


元はといえば、無意識とはいえ安請け合いした僕に責任がある。

となれば、頑張らなければいけないのは僕だ。

グリムに無理をさせるのはお門違いと言う奴だろう。


グリム「お前…そういうこと言うからエースの奴に怒られるんだゾ…」


『えぇ…』


グリム「俺様だってさっさとこんなところ出たい!

2人でやった方が早いに決まってるんだゾ。

それに、子分を助けてやるのは親分の役目だからな〜」


『子分になった覚えはないけど…わかったよ。』


それから、寮生が呼びに来るまで

ほんの少しだけ、グリムと一緒に仮眠を取った。

救済の魔法→←不確かな可能性



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ゆる(プロフ) - 続いてほしいです………!更新楽しみにしてます! (2022年9月24日 18時) (レス) @page47 id: 3e63e5a771 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 天才か???好きです。 (2022年4月4日 21時) (レス) @page47 id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 更新たのしみにしてますっ! (2021年9月10日 16時) (レス) id: 2f778f3504 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 惚れた、、、フロイドくんやっぱりすき、、、更新楽しみにしてます……! (2021年8月26日 0時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/  
作成日時:2021年8月1日 22時

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