第四十四話 ページ46
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『強さ』は『自由』だ。
「「ナイッサァ！」」
2度目の飛雄のサーブを星海くんがなんとかあげる。
ブロックアウトかと思われたボールを田中くんが繋いで、最後に上がったのは東峰くん
「行け…っ」
ﾄﾞｵｯ
「…今わざと開けてたのか、うまいな…」
東峰くんの強烈な一撃をシャットアウトした鴎台のブロック
隣で月島さんが感嘆するのが聞こえた。
「《流れを掴む特大チャンス、仲間が作ってくれたチャンス》《ここはゼッタイ決めたい、決めなきゃダメだ》…皆の期待に応えたいんだ。皆のテンションを上げたいんだ。
折れんなよ、エース…！」
天満さんは烏野のエースだったから、その気持ちが分かるんだろうな。
その逃げ出したくなる重圧の重さが、分かるんだろうな。
私はセッターで自分が攻撃を指揮するけど、最後を決めるのはスパイカーで。
その重さは私には分からない。
「(昼神くんは…まるで機械みたいに動くなぁ)」
ﾄﾞｶﾞｯ
〔またもっ、またしても止めた、鴎台不動の昼神ー！！〕
「…中々、東峰くんは決まらないですね…」
「ああいう時が一番苦しいんだ。何もできない自分への苛立ちが押し寄せてくる」
TOが終わって鴎台のサーブ
ラリーが続いて、どんどんプレーが加速する。
「(ネット近め…十分じゃない)」
ﾄﾞｯ
東峰くんの前に立ちはだかったブロックの壁
コートに落ちると思ったボール
しかし、反射して伸びた西谷くんの手がボールをあげた。
「「うおおおおっ！！！」」
「すごい…ナイスフォロー…」
一気にざわめいた会場
飛雄が速攻を使って一点をもぎとる。
「そこで速攻使うのもさすが…」
飛雄の後ろ姿を追っていると、ﾋﾟｰｯと笛が鳴り菅原くんが入ってきた。
「ツーセッター…烏野は確実に一点を狙いに行くつもりですね」
「頼む〜、今ので同店だから逆転したい…！」
「月島さん、そんな念込めないで」
白馬くんのアタックを上手くブロックして、繋げた一本
飛雄から東峰くんに向けて丁寧なハイセットが放たれる。
「(決めろ…行け…！)」
きっと、皆がそう、エースの背中を見て思っただろう。
体勢は完璧
しかし同時にしっかりついてきてる三枚の壁
強烈な一撃が来る。
そう、思った。
ﾌｯ
優しく打たれたボールは、誰もいない真ん中に落ちた。
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作者名：にゃん吉 | 作成日時：2020年1月21日 23時
