第四十三話 ページ45
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今の速攻が決まって同点に追いついた烏野
「烏野のセッター、ホント凄いっすね…！まだ1年でしたっけ」
「うん」
「いやー、よくぞ入ってきてくれたって感じっすね。Aちゃんの言う通りだわ」
思わず感嘆の声を漏らす天満さん
ただ9×18mの四角いコートの中でボールを落とさない事に必死になるだけのスポーツ
だけど、その過程は全然単純じゃない。
ボールを落とす為に
サーブで崩したり、ブロックで叩き落としたり、スパイクを強烈に打ち込む。
ボールを決して落とさせまいとする相手のコート
そのコートに、いかにボールを落とすか。
その攻撃の指揮を下すことを任されるのが、セッター
たった3回しか触れることが許されない中で、試合中誰よりも多くボールに触れるポジション
強いスパイカーというカード
そのカードを、プレーの状況・雰囲気・カード自体のコンディションの全てにおいて、どう切るか。
それを操るセッターが優秀であれば優秀なほど
そのチームの攻撃力に雲泥の差が表れる。
つまり、セッターによってチームは強くなったり弱くなったりするということ
〔バックライトから飛び込んできた日向翔陽ー！
前衛も後衛もお構いなしっ！〕
〔いやー、烏野は本当に1年生が頼もしいですねー！
2年後が楽しみというか、恐ろしいというか〕
〔勢いに乗りたい鴎台、そうはさせない烏野1年！！〕
点数は13-13で、同点
「サーブで乱されてるのに、影山は全然問題なさそうに上げるのすごいな…」
月島さんがﾎﾞｿｯと呟く。
「それはたぶん、飛雄の構えてる位置がネット際じゃないからだと思います」
「あ、ほんとだ」
「なるほど、アタックライン寄りで構えてるから多少の乱れでも対応できるのか」
「その通りです。ただ、アタックライン寄りから速攻を合わすのは激ムズです。飛雄の技術のレベルが高いからこそできることだと思います」
「やっぱり影山すげぇ…」
ﾋﾟｰｯ
「あ、影山のサーブだ」
ここでブレイク取りたい…
〔影山ここまでとはうって変わって入れていくサーブ〕
「…ホントいい性格してる」
恐らくバレー歴が短いであろう白馬くん
サーブレシーブから外す為か、コートの端っこにいるところをドンピシャに狙った飛雄の緩いサーブ
そうして誘ったお見合い
コートの中で最後まで楽しめる存在
それは明確な『強さ』を持つからこそ
『遊ぶ』飛雄にｿﾞｸｿﾞｸした。
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作者名：にゃん吉 | 作成日時：2020年1月21日 23時
