第三十六話 ページ38
.
「え！」
隣でパンフレットを眺めていた天満さんが声をあげる。
「鴎台にも160cm台が居るんですね！《小さな巨人》対決じゃないですか！」
「そうなんだよ、日向くんはMBだからポジションは違うけど」
「えっ、MBなんすか！？あの身長で！？」
驚く天満さんに説明してる高身長の男の人は、烏野の11番…たしか月島くんのお兄さんで天満さんの先輩だと聞いた。
「なんか…すみません、烏野の応援席に入れてもらって…」
「そんなことないよ、Aちゃん。だって、烏野応援しに来たんでしょ？」
「そうですけど…」
「それにこっちの方が後ろの席よりいいし！ね、先輩！」
「ああ、むしろ応援が増えて嬉しいよ」
「ほんとありがとうございます！！」
ほんとに優しい人ばかりだな…
そう思っていると、近くで聞こえたドドンという大きな太鼓の音
「気合い入れていくよ！」
「はいっ！！」
先程日向くんを呼んできた派手めのお姉さんが先頭に立っているのが見えた。
「…田中かっけぇ…」
と思わず漏らした天満さん
「まじ冴子のアネキ居なかったら、2回戦ヤバかったよ」
「あ、生中継見てても聞こえてきました。あのお姉さんが率いてるんですか？」
「そうなんだよ、地元でやっててさ。ちなみに烏野の5番のアネキ」
「似てる…」
応援があるのとないのとでは、すごく違う。
それに強豪校が出揃う春高
応援団がない烏野を救ってきたのは、この音だったんだろう。
いいなぁ、地元もチームも一緒になって戦ってる感じ。
コートの中で感じてる選手たちの士気も一層高まるんだろうな…
「Aちゃんは中学の時、ポジションどこだったの？」
「セッターやってました」
「そうなんだ、烏野のセッターはどう？」
天満さんは早く試合始まらないかなーっといった様子のワクワク顔で聞いてきた。
「烏野のセッター…飛雄は、化け物…怪物…とかじゃ言い表せないくらいの天才です」
「え、そんなに？」
「日向くんのジャンプ力もあり得ないくらいすごいんですけど、そこに飛雄が加わることでこれまでの強い沢山のブロックたちと渡り合えてきたんだと思います」
「へー、そうなんだ」
「プレー見たらすぐ分かると思います！」
「ほんと！俺、烏野の試合見るの初めてだからさ！早く始まんないかなー！」
そう言って、ギャラリーから乗り出した天満さん
ﾋﾟｰｯ
その時、ちょうど試合開始のホイッスルが鳴った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 120人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にゃん吉 | 作成日時：2020年1月21日 23時
