第三十三話 ページ35
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〔出ました凄いコォース！！
烏野高校 田中龍之介、稲荷崎有利の空気を切り裂くような一本です！！〕
1セット目を取った超インナークロスから調子を上げている烏野の田中くん
白鳥沢戦の時も思ったけど、この子のメンタルの強さは尋常じゃないと思う。
〔烏野高校はここで3年生菅原を投入します、守備強化が期待できますね〕
〔際どいところを狙って行きます烏野 菅原、尾白アランが上げる！〕
日向くんの手に当たったボールを菅原くんが辛うじて上げる。
飛雄が返したボールを尾白くんがレシーブして、そのままトスを呼ぶ。
…セットアップも悪いし助走も満足にできてない。
案の定、飛雄と田中くんのブロックに引っかかるが惜しくも弾いたボールはアウトだった。
あ、稲荷崎はピンチサーバーか。
〔ここは確実に入れ行った1年生理石平介〕
東峰くんがレシーブして、日向くんがスパイクを決めた。
〔ブゥーーー！！今のサーブなんやー！！何しに来たんやー！！「ボール出し係」は呼んどらんわー！！〕
えー…ブーイングこわ…
私だったらトラウマになるな…
次のサーブは飛雄
『……うわ…』
〔ｰｰノォタッチエェーーーッス！！！なんというスピード、なんというコース！〕
〔これはとれないなー笑〕
一瞬でコートのコーナースレスレでバウンドしたボール
ｿﾞｸｿﾞｸｯと背中を寒気が駆け巡った。
ﾄﾞｷﾞﾁﾞｨ
凄まじい音を立てて弾かれたボール
〔また決まったサービスエーース！！TOを挟んでもその集中は切れずー！！〕
会場の歓声がドッと沸き起こる。
『…もう一本…』
飛雄の強烈なサーブで止まらない得点
《拾えない》というのはバレーボールにとってとても怖いこと
やっと上がった乱れたレシーブ
これを決めれば飛雄のサーブを切れる。
その《焦り》が
それまで少しずつ積み重ねられた《苛立ち》と俺が決めるという《欲》と交わって
『アウト……』
試合の流れを変えてしまう、嫌なミスをおびき寄せる。
飛雄の4回目のサーブ
〔今度は決めてきた尾白アランー！！エースの意地を見せます！！〕
〔治くん、ナイスセッティング
侑くんのディグが素晴らしかったですねえ〕
〔影山飛雄・宮侑は互いにユース代表候補、有望なセッター同士ですがセットアップ以外でも火花が散っています…！！〕
画面に映し出された飛雄の顔を見て、私もそこに行きたいと思った。
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作者名：にゃん吉 | 作成日時：2020年1月21日 23時
