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第十一話 ページ13

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『検査結果ですが、瀬川さんは重度の頻脈性不整脈です。
先程母方の方にも同じような症状を持った方がいらっしゃったと聞いたので、恐らく遺伝性のものかと思われます。
これまで発作が出なかったのも奇跡的でしょう…

今回は周囲の迅速な判断のおかげで幸いにも命に別状はありませんでしたが、次の保証はできません。

バレーボールをされてたみたいですが、今後続ければ突発死などもあり得ます。


非常に言いづらいのですが命の安全のためにも、


バレーボールはやめるべきでしょう』







淡々と先生に言われた言葉






『バレーボールはやめるべきでしょう』





何を言われているのか、分からなかった。



ただでさえ私のせいで試合に負けて、罪悪感に苛まれているのに、






この人は何を言っているんだろう。







『…A……A?大丈夫?』



『……お母さん…私、バレーやめない』



『何言ってるの?今の聞いてなかったの?』



『聞いてたよ。でも、……はい、そうですかってやめられるわけないじゃん』



『あのね、A。これは怪我じゃないのよ。
心臓の病気なの、バレーを続ければ死ぬ可能性だってあるのよ。』



『っ…!…死ぬのなんてこわくないもん…!!私にとったら、バレーができないなら死んでるのと同じだ!!なんならバレーしながら死ねるなら本望だよ……っ』









うそ。


死ぬのがこわくないなんて、うそ。




目の前が強制的に真っ暗になる感覚



背中がゾワッとするくらいまだ鮮明に残ってる。




もしまたあの感覚を経験する時は、この怖さを思い出すこともないかもしれない。


きっとその時は、神様に助けてくださいと泣きつくのかもしれない。






でも、






そんな突然言われたって、







納得もできないし、現実感もないじゃんか。






まだボールの感触が残っているのに。





身体がいつもと同じようにコートに立てると思ってるのに。









とめどなく溢れてくる涙









『……ごめんね……お母さんが強い健康な身体で産んであげれなくてごめんね………Aは悪くない。でも、……でも死ぬなんて言わないで…

お母さんの、たった一つの宝物…

お願いだからお母さんのもとからいなくならないで…』









そう、私の頬を包んだお母さんの顔も涙でぐしゃぐしゃだった。









『……ごめんなさいぃ』









二人の泣き声だけが、静まりかえった病室に響いていた。







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作者名:にゃん吉 | 作成日時:2020年1月21日 23時

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