【ハイキュー】青春の果て (ページ12)

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第十話ページ12

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『A…っ！！』

母親に知らせを聞いた俺は、すぐに病院へと向かった。

『としくん……』

Aの目元は赤く腫れていた。

『大丈夫か…？？』

『うん…』

『良かった…』

しかし、ベッドの上に座るAの姿は

いつもの一回りも二回りも小さく感じた。

『女子…負けちゃった…』

今日は全中予選の準決勝だったか。

今年は間違いなくいけるメンバーだと自信満々に豪語したAの笑顔を思い出した。

『私のせいで…負けた……』

『そんなことはない』

『…そんなことあるっ！控えのセッターはまだ入ってきたばっかの一年生しかいなかった！！
まだ充分にみんなの癖とか把握してない！！
しかも、あと一点で試合が終わる場面……平常心でプレーできるわけないっ！！

私が…

私がいなくなったから…

私が、みんなの空気を乱したから…

私のせいで負けたんだ…』

そうシーツがしわくちゃになるまで掴むAの姿は、見ていられないほど弱々しくて。

俺はどの言葉をかけてやればいいか、分からなかった。

『…そんなに悔いが残る終わり方であったなら、また、高校でやればいいだろう。
その時には万全をつくして、決してこのようにならないように『できない。』……は？』

やっと紡ぎ出した言葉。

しかし、それはAにさえぎられた。

『できない……？』

そう言った瞬間、俺が見つめていたAの大きな瞳から大粒の涙がとめどなく溢れ出した。

『もう……できないんだ…できないんだよっ…！

バレーボール…！』

言葉が詰まった。

『…ごめん、としくん……今日は帰って』

言われるがまま、俺は退出するしかなかった。

俺たちを出会わせたバレーボール

Aが死ぬほど大好きだったバレーボール

お互いに、全てを捧げたバレーボール

そんな生きがいが、突然、奪われた時の感情はどのようなものだろうか。

想像し得ないそのような恐ろしいものを、

Aは今直面し、感じている。

あの小さな身体で、耐えようとしている。

ただただ俺は、

そんなAに対して何の言葉もかけてやれない、

何もしてやれない、

情けないやつであるだけだった。

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