笑う少女とその過去の夢 ページ11
『進んでいく道は自分で決めろ。何にも囚われず、己と向き合って、ただ一つの道を』
夢は、いつも背中を押してくれる。
暖かく、優しく。そして、時に厳しく。
思い出せば、涙が溢れそうになる。
だけど………私は答える。
『平気。大丈夫だよ、だから…』
笑って。
そう、自分に言い聞かせて。
「……大空。何でィ、人が折角呼びに来てやったってのに、寝てん………」
最後の言葉が出なかったのは。
泣いてたから。
悲しそうな、辛そうな。そんな表情で。
4年近く側に居たが、初めて見た涙だった。
「近藤さん。大空って、どこ出身何ですかィ？」
「北の方……いや、南だったか？いやいや東だった気も……いやはや、西かもしれん！！」
「つまりは、何も聞いてないんですね…」
如何にも近藤さんらしくて、何も言えなかった。
他の隊士も勿論知るはずない。
あとは、当の本人に聞くしかないが………
自分から喋らないってこたァ、聞いたところで無駄足だろうな。
「何、サボってんだ！！仕事しろッ！！！」
廊下の方から土方の野郎の声がすれば、あいつの笑い声が屯所中に響く。
きっと、感情を誤魔化して笑って。
ここに居るのに、ここには居ない。
時々、そんな風に感じるのは。
『沖田隊長は自分に正直で、真っ直ぐで。だけど……少し、私に似てる気がするんです。
なんて………すみません、とても失礼ですよね！』
あいつ入隊してきた頃、言われた言葉。
俺は嫌ってた。近藤さんが奴ばっかり構うから。
そんな子供っぽい理由でぶつけた悪意。
だけど、奴は笑った。
本当は知ってたんだ。
女らしくない、手のマメ。平常を保って、手は震えていたこと。どれだけの努力をしていたかも知ってた。
その点で俺は、劣っていた。
あいつが好かれる理由なんて、いくらでもあった。
だから、今度は。
「正々堂々、勝負しようじゃねェかィ」
「えっ？愛しの沖田隊長！？
何か言いましたよね？ごめんなさい、聞いてなかったです！！わんもあぷりーず！！」
だが、俺は意地の悪い所があるらしい。
「教えてやらねェ」
「夜、眠れなくなります！！まぁいっか。一晩中、沖田隊長の寝顔を………
両頬を掴めば、変な顔して変な声を出す。
まぁ元から顔は変なんだけど。
こいつには負けたくねェ。意地でも。
勝負はもう、始まってる。
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千の歌を歌う人(プロフ) - 十音さん» 返信が遅くなり、すみません！！ご期待に添える自信はあまりないですが、書くのがすごく楽しいので頑張ります！！ (2020年2月16日 23時) (
レス) id: 88ef43b3c1 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 千の歌を歌う人さん» すごく好きです!(この作品も千さんも)(突然の告白) (2020年1月25日 23時) (レス) id: 29ef4bacad (このIDを非表示/違反報告)
千の歌を歌う人(プロフ) - 十音さん» すごく驚きました。すごく嬉しいです！ (2020年1月25日 12時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 千の歌を歌う人さん» と思ったら1位だよ!!!!おめでとう!!!! (2020年1月19日 1時) (レス) id: 29ef4bacad (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 千の歌を歌う人さん» すごっっっ!!もう去年Aなってるんだよなぁ我。あ、関連作品ランキング2位おめでとう!!!!!! (2020年1月19日 0時) (レス) id: 29ef4bacad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千の歌を歌う人 | 作成日時：2020年1月1日 1時
