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宮殿に戻ると、私は小山さんの部屋に向かった
今回は挨拶ではなく、ちゃんと伝えたいことがある
部屋の扉をノックすると、部屋の中から小山さんの「はい」という声が返ってきた
「・・・Aです」
私の言葉への返答はなかったけど、すぐに扉が開いた
目の前に、小山さんが立っている
「あの・・・、今日、玄武の里に行ってきました」
小山「・・・・・」
「里の玄武さんから・・・小山さんに伝言がありますので・・・お伝えします」
正直言うと、伝えていいことなのかちょっと迷っている
もしかしたら・・・小山さんの過去に関わることかもしれないから・・・
でも伝言を預かった以上、伝えない訳にもいかない
「あの時のこと、本当に申し訳ないと思っています、もう一人で全て抱え込まないでください・・・、以上です」
一瞬、小山さんの表情が険しくなったような気がした
小山「皆から・・・何か聞いたの?」
「え?いえ・・・、そう伝えてほしいと頼まれただけです・・・」
小山「・・・そう、分かった・・・」
小山さんは私に背を向け、部屋の扉を閉めた
小山さんの思いも、かつて何があったのかも分からない
玄武さんが言ったように、もっと仲間を頼ってほしいとは思っている
だけど、私の意思でそれを伝えることは出来ない
何も知らない私に伝える資格もないし、何より、伝えることで余計に小山さんを苦しめてしまう気がしたから
祐也達やキセキさんだって、小山さんに頼りにしてほしいと思っているだろうし、小山さんもそんな皆の気持ちにきっと気付いている
それでもそれが出来ないのは、相応の事情があるからなのだろう
私なんかに、小山さんの苦しみを癒せるとは思えない
だからせめて・・・小山さんが無理し過ぎないよう、気を配ろう
自分自身の苦しみに、押し潰されてしまわないように・・・
・・・何様だろうな、私
小山さんもきっと、鬱陶しいと思ってるよね・・・
それでもやっぱり・・・小山さんが心配だよ・・・
私はそのまま自分の部屋に戻った
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天照(プロフ) - 久瑠実さん» ありがとうございます!凄く嬉しいです!しばらく更新出来ず申し訳ありません。これからまた頑張ります。 (2018年5月6日 18時) (レス) id: a981c9ad02 (このIDを非表示/違反報告)
久瑠実(プロフ) - 更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2018年5月6日 10時) (レス) id: ce7da4087f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天照 | 作成日時:2018年4月17日 19時