act13-14 ページ14
キセキさんが近づいてくる度に、私の鼓動が早くなる
ある程度近くまで来ると、彼女は足を止めた
キセキ「お久しぶりです、Aさん」
「・・・はい」
彼女と目を合わせるだけで精一杯だった
緊張で強張る私とは対照的に、キセキさんの表情は穏やかで、優しかった
キセキ「人間界に・・・帰ったのだと思っていました」
「・・・すみません」
キセキ「ここに残った理由は・・・何だったのですか?」
正直に答えて、私の想いを伝えよう
そう決心し、私は話を始めた
「私はずっと・・・天界のために何か出来ることをしたいと思っていました」
キセキ「はい・・・」
「でも・・・無力な私には・・・何も出来ないと感じました」
キセキ「・・・・・」
「キセキさんが来てから、姫の存在が天界にとってどれだけ大きいのか、キセキさんがどれだけ立派な方か、強く実感しました」
キセキ「Aさん・・・」
「キセキさんがいるからもう大丈夫、私がいれば天界の人達に迷惑がかかると思って、一度は人間界に帰ろうと考えました」
私は話しながらも時々視線を逸らしてしまうが、キセキさんは私から視線を外さない
「ですが・・・天界にはたくさんの思い出が詰まっていて・・・、せめて・・・あと少しだけここにいたいと思って・・・しばらく天界に残ることにしました」
キセキ「はい・・・」
「また・・・天界でいろんな人と触れ合っていくうちに・・・、こんな私を必要としてくれている人が・・・、信じてくれている人がいるって・・・分かったんです」
キセキ「・・・・・」
「その人達の想いに・・・応えたいです!」
気持ちが高ぶっているせいか、私の声が徐々に大きくなる
発言にも、力が入ってくる
「わがままかもしれません、私のエゴでしかないかもしれません、それでも・・・天界の力になりたいって・・・思ったんです!」
キセキ「・・・・・」
「私は姫ではありません、それでも私は自分の意思で・・・、私自身がそうしたいから・・・、天界のために出来ることを頑張りたいです!」
キセキ「・・・・・」
「それに・・・私を信じてくれた祐也や貴久のためにも・・・、まだ・・・天界にいたいです」
キセキさんの目を真っ直ぐ見て、私は決意を伝えきった
尚もじっとこちらを見ているキセキさん
だけど、言葉が返ってこない
部屋中が、沈黙に包まれる
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天照(プロフ) - 久瑠実さん» ありがとうございます!凄く嬉しいです!しばらく更新出来ず申し訳ありません。これからまた頑張ります。 (2018年5月6日 18時) (レス) id: a981c9ad02 (このIDを非表示/違反報告)
久瑠実(プロフ) - 更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2018年5月6日 10時) (レス) id: ce7da4087f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天照 | 作成日時:2018年4月17日 19時