その先へ～I'd like to approach～ (ページ49)

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2度目の上司命令ページ49

駐車場に付くと当たり前のように助手席を開けてくれた

『Aちゃんさ、もう少し時間いい？ちょっとドライブしない？』

「したいです！」

まさかのお誘いで、くい気味に返事をしてしまって笑われた

でも、笑っているその声とは反対に
表情からは少し悩んでいるような複雑な感情が読み取れた

車を走らせて、しばらくすると
ゆっくり喋り始めた…

『Aちゃん、入社してもう5年だっけ？』

「はい。早いもので…全然成長してないですけど」

『いや、ちゃんと成長してるよ…俺も助けられてるし』

「助けるなんてとんでもない。助けられてるのは私です。…この間も注意不足で大変ご迷惑を…」

『あの日の事はしょうがないでしょ。取引先だったから、ないがろしにもできないし…』

なんだか車内の空気が重くなってきてしまった

『そういえばさ…Aちゃん、英語できるよね？』

「えぇ、まぁ…日常会話程度は」

『いや、嘘だね…聞いてるよ。すげぇペラペラだって。夏休みとか長期の休みは、ホームステイしてたって聞いたよ』

「誰に聞いたんですか…まぁ、だいたい想像できますけど…(笑)でも、なんでこんな話を？」

赤信号で車を止めると

前を向いていた櫻井さんの顔が左を向いた

一瞬目があったけど、どこか複雑な表情で

すぐに前に向き直った

『まだ、ちょっと言えないんだけどね…そっか、二宮は嘘は言ってなかったか…』

「やっぱり、二宮でしたか。まぁ、履歴書にも書いてあるので隠していても、いずれバレますけどね」

『お願いがあるんだけど…』

信号が青に変わって再び走り出すと

『これから、何かあったら、まず俺に相談して欲しい。俺を頼って欲しい…中里でもなく、俺に一番に報告すること』

“相談して欲しい”

って言われてすごく嬉しいけど
天音先輩を飛び越えて、更に上の櫻井さんに
相談なんてしてたら、他の次長さん達に怒られてしまう

「ありがとうございます。でもさすがにそれは…」

『上司命令。悪いけど、職権乱用させてもらうよ。どんな些細な事でもいいから、ね？』

この間、言われたテンションと違って
なんだか、必死な感じが伝わってくる

どうしたんだろう？

＿近くにおいて＿けどまだ＿ないもんな

最後にぽつりとなにかを呟いていたけど、うまく聞き取れなくて

気がつけば、いつの間にか
私のマンションの前で停車していた