その先へ～I'd like to approach～ (ページ48)

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ふたつの質問の真意は… ページ48

キレイに残さず食べてくれたから
後片付けもスムーズにできて
あっという間に終わってしまった

『終わった？こっちきて座りなよ』

水を止める音を合図に
コーヒーを入れてくれていた

『久しぶりにちゃんとした手料理食べたよ。全部うまかった。ホントありがとう。タルタルって手作りできんだね～』

“美味しかった”って言ってもらえたから
お礼は成功って事にしておこう

「お粗末さまでした。こんなのがお礼で、なんか申し訳ないですけど(笑)」

『気になってたんだけどさ、何で今日はこのメニューにしたの？』

「母がよく作ってくれて、私も久しぶりにチキン南蛮が食べたかったから…ですかね。あとは、手料理に飢えてるって言ってたから、ほっとできる、和食にしようと思ったんです」

『ホントに、それだけ？』

「それだけ…ですよ？」

胃袋を掴めたら…って思ったけど
本当のところ、そんな事はどうでも良かった

だって、掴みたいなら、好きな料理を作ればいい

きっと今までの彼女にも、たくさん手料理作ってもらっているはずで

過去の人と同じものを作って比べられるより
食べれない物や苦手な物を聞いて
違う料理を作った方が単純にいいと思った

嫌いな物も分かって、一石二鳥だし

もちろん、櫻井さんは比べたりするような人じゃなって分かってるけど

私なりの…女としての意地だった

その意地が見透かされたのかな…だとしたら恥ずかしい

『あのさ、今更なんだけど…もうひとつ聞いていい？』

「いいですよ？」

『付き合ってる人とか、いないんだよね？ほら、お昼のときは結局、聞けなかったし。休みの日を一日拘束しちゃったからさ』

そんな事聞いて何のためになるのか…
そろそろ勘違いしそうになる

まぁ、櫻井さんが私の事を
好きなることなんてないけど

「いませんよ」

『一応、聞いとくけど二宮とも、そういう関係じゃないって事だよね？』

なんだか最近同じような質問されたな…

「二宮とはただの同僚です。腐れ縁ですよ(笑)ごめんなさい、最近同じ質問を、相葉先輩にもされたの思い出して」

高校の時から知ってるのに
今更ですよねって笑っていたら

『雅紀からも同じ質問されたの？あいつ…余計な事を』

「ん？」

『あぁ、いや、気にしないで。もう、こんな時間か…送るよ』

楽しい時間が過ぎるのはあっという間で

窓には、部屋の明かりが反射して
自分の姿が確認できるくらい
外が暗くなったことを知らせていた