その先へ～I'd like to approach～ (ページ47)

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似合ってるよページ47

自分の家から持ってきたエプロンを着けて
髪を束ねる

チキン南蛮なんて作るの久しぶりだなぁ～

調理しながら上京してすぐの事を思い出した

結構、早くにホームシックになって(笑)
お母さんにお願いして、レシピ集を作って送ってもらったんだ

寂しくなったら自分で作れるようにと思って

作ってる間に楽しくなってきて

そのうち寂しい気持ちなんか忘れて…

おかげで料理は得意になった

最近は飲みに行く機会が増えたり
家に帰ってきても疲れたりで

こんなにがっつり
ましてや“誰か”のために
作ったりなんてしてなかった

しかもその“誰か”が
自分の“好きな人”なんて
こんな奇跡みたいな事、そうそうない

ランチョンマットに
作り終わったものから配膳していく

付け合せのキャベツを千切りにしていたら

『エプロン…髪もいつもと雰囲気違って、いいね…似合ってるよ』

「えぇ！？あ、ありがとうございます。もう、びっくりしたじゃないですか…そろそろ呼びに行こうと思ってたので、座って待ってて下さい」

いつから、後ろにいたんだろう
似合ってるって言われてせいで顔が熱い…

火照りがバレないようにと
顔もみないで言ってしまった

『なんか、いいにおいしてきてたら、急に腹減っちゃって(笑)待ちきれなくてさ～。チキン南蛮だ！』

ごはんとお味噌汁を添えて…完成！

「じゃぁ、食べましょうか！いただきまーす」

『ねぇ…これ、卵焼きとかおひたしとか…全部作ったんだよね？しかも味噌汁あさりじゃん！貝じゃん！』

「一応、お礼なので…好きなもの入れてみました」

とりあえず、喜んでもらえたから第一段階クリアかな…

『ウマっ！てか、お店の定食だよ』

お店の定食より豪華だし

なんて一人で納得しながら
どんどん口に運んでいく

『ほんなの、はいにち、つくってんの？』

「毎日は作りませんよ。櫻井さん、食べ終わってから喋りましょうか(笑)」

お昼の時もこんなことあったな
我ながら、また聞き取れたことにビックリしたけど
今のは、さすがに櫻井さんも引いたかな

チラッと見ると
気にしてる感じは全然なくて

『味噌汁って、おかわりあるの？』

食べ始めてそんなに時間もたってないのに
早速おかわりをしてくれた