その先へ～I'd like to approach～ (ページ46)

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揃いすぎてる調理器具ページ46

『一応、片付けたつもりなんだけど…どうぞ。あっ、キッチンはこっちね』

頭の後ろを掻きながら
ちょっと申し訳なさそうに、案内してくれた

そういえば…この間よりは
スッキリしているような気がする

すみっこに、まとめただけの
新聞や書類もキレイに片付いてた

通されたキッチンはシンク以外
ほとんど使われた形跡がなくて
コンロに至ってはピカピカしている

なのに…

鍋やフライパンはもちろんの事、
フードプロセッサーや寸胴鍋、中華鍋と
事前に聞いていた通り、結構そろっている

社会人になってすぐ別れたって言ってたけど
一緒に住んでたのかな？

「あの…これって、彼女さんが？」

『へっ？あぁー！調理器具ね。何でも揃ってるでしょ？(笑)それね、松本から押し付けられたんだよ』

「同期の！バンクーバー支社の松本さんですか？」

『そうそう。あれ？会った事あったけ？』

「いえ、会った事はないですけど…この間、電話で少し話す機会があって。天音先輩の会話でも何度か、話題になった事があったので」

『アイツね、趣味が料理でさ～。入社して二年目ぐらいで海外勤務になったんだけど、捨てるの勿体ないとかで、全部俺の所に持ってきたの(笑)』

邪魔なんだよな～

眉毛をハの字にさせて呆れ顔の櫻井さん

「仲いいんですね。一度会ってみたいな～。天音先輩の話しを聞いてても、面白そうな方だし」

食器棚の扉を閉めて顔をあげると
今度はちょっと不機嫌顔の櫻井さん

何か気にさわるようなこと言ったかな…

話題を変えようとしたら

『あのさ、手伝いできることがあれば…って言いたいんだけど、俺、料理全然ダメなの。任せちゃっていい？』

「もちろんです。出来上がったら声かけるので、ゆっくりしていて下さい」

『じゃぁ、ちょっと終わらせたい仕事あるから、よろしくね』

パタン＿とドアが閉まって書斎に入っていった

気のせいだったのかな？

まぁ、いっか
材料を袋から出して準備を始める

昨日、悩んで考えたメニュー

ほっと出来る和食を…と思って
実家でお母さんが良く作ってくれた

チキン南蛮で定食を作ることにした

半分は私も食べたかったからって理由なのはナイショ