その先へ～I'd like to approach～ (ページ34)

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頬の痛さページ34

いつもは、午後の始業時間に合わせて
混雑しているロビーも

昼休憩を過ぎているからか人はまばらで
エレベータに乗っても二人きりだった

夢じゃないよね…

頬をつねると確かに痛くて

結構、強くつねったのに…
その痛さは心地いい

『じゃぁ、俺ちょっと人事課に用事あるからここで。お店で「一人で来ます」って言ってたけど、俺も行きたいから誘えよ。あと…例の件は連絡するから、拒否しないように。これも上司命令な(笑)』

これじゃ、職権乱用だな～
なんて笑いながら先に2階で降りていった

櫻井さんになら、乱用されても構わないけど…

一人残されたエレベーターの中、
ふぅーっとひと息はいて肩の力を抜く

今日は残業して帰ろう…
このまま家に帰っても消化しきれないくらいに櫻井さんを充電できたし…

エレベーターを降りて
足早に自分のディスクへ向かった

「ただいま戻りました…」

「おかえり…」

〔お帰り～。帰って来て早々悪いんだけど、これまとめておいてくれない？来週、火曜日に必要なの〕

「了解です」

何か言ってくるだろう。っと思って構えていたのに
二宮は意外と眈々と仕事を処理している

〔Aちゃん、ちょっといいかな？〕

「はい」

〔今日さ、ちょっと用事できて、プライベートな事で悪いんだけど…私、早くあがるから、後お願いしてもいい？〕

「もちろんです。今日のお昼、休憩長くもらいましたし、私も残業しようと思っていたので…」

〔なにか仕事たまってたっけ？〕

「いや…ちょっと贅沢しすぎたかなぁ～って思いまして…」

〔あぁ、櫻井か？(笑)今度ゆっくり話聞かせてよ。私もちょっと相談したい事あるし〕

「ぜひ！また、連絡します」

さっきつねった頬を

パチパチと叩いて気合いを入れた

そんなに強く叩いたつもりはなかったけど

今度は心地いいとは感じなかった

「さて…お仕事、片付けていきますかね…」

今日はいっぱい、贅沢したから頑張らないとね