その先へ～I'd like to approach～ (ページ27)

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微笑みの王子は敵に回してはいけない人ページ27

「＿＿っとこんな感じでまとまりました。あとは最終に向けて、しばらくは打ち合わせもありません。」

[そうか、よくまとめてくれたな。そういえば…金曜日、食事に誘われたんだろ？どうして途中で帰ったりしたんだ。杉浦専務から電話をもらったぞ]

「えっと…それは…」

[それでだな、今日の夜は私と一緒に会食になったから、同席するように]

「えぇ！？今日ですか？」

＿コンコン

助かった…ミーティングが始まるから
誰か呼びに来てくれたのかな

[誰だね？今、大切な打ち合わせ中なんだが…]

ドアを開けたのは…

[っ、櫻井…]

『加賀谷さん、その会食は会社の利益になる為のものなんですよね？』

[…もちろんだよ]

『では、私も同席させてもらってもいいですか？最近、どうも経費の使い方が荒くてですね～』

[いや、本部長が出向くような案件ではないので、心配無用ですよ]

『私が同席すると何か不都合でも？最後に加賀谷さんの仕事ぶりを焼き付けておこうと思ったんですがね…もっとこれからも一緒に仕事が出きると思っていたのに…残念です』

櫻井さんが、1枚の紙を渡すと
加賀谷次長の顔色がみるみるうちに悪くなっていく

『松岡専務がお呼びです。今すぐ専務室へ』

[お前…俺が手取り足取り教えてやったのに…]

『私は、別に…あなたに教わった事などありませんが』

加賀谷次長は血相を変えて会議室を出ていった

「櫻井本部…櫻井さん、さっきの紙は…」

『あぁ、これだよ』

櫻井さんは予備で持ってきていた
もうひとつを見せてくれた

そこには…

＿本社営業部1課の次長の任を解き、沖縄支店営業2課の次長を命ずる＿

えっこれって…辞令？
でもこんな中途半端な時期に？

『遅くなってすまなかったな。こんな一番奥の会議室を使ってると思ってなくて…探すのに時間かかっちゃったよ』

櫻井さんが申し訳なさそうな表情で
こちらを見ている

私は、この人に…自分の好きな人に
こんな顔しかさせることが出来ないのか…

もっと笑っていて欲しいのに

その為には何ができるのかな

『さて…今日は忙しくなりそうだよ？ミーティング始まるから行こうか～楽しみだなぁ』

「あの、ありがとうございました」

ふっと笑った櫻井さんの
優しい微笑みで、今日も頑張らなきゃ
って思ったけど、優しい微笑み王子に騙された…

数分後、櫻井さんが言ったように
本当に忙しくなった

ミーティングで発表された
異例の“辞令祭り”のおかけで…