その先へ～I'd like to approach～ (ページ14)

今日:45 hit、昨日:10 hit、合計:287,813 hit

特別な一番奥の自販機ページ14

「あんな事ってもしかして、
データ消された時の事、思い出してた？」

「まぁな。あんな事するやつ、いまだにいるんだ。ってビックリしたよな(笑)」

やっぱその事、思い出してたんだ。

「そう言えばさ、あの後からだよな。お前が毎日“カフェ”に寄る様になったのって」

「うん。私にとって、あそこは特別だから」

＿＿＿

あの日、天音先輩に言われた通り
私は直接、櫻井さんにお礼を伝えた。

「櫻井さん、中里さんに聞きました。カフェラテありがとうございました。すごく美味しくて、すぐ落ち着けました。よかったらこれ櫻井さん、いつもコーヒー飲んでるので
お供にいいかなぁ～って」

コンビニで買ったクッキーとアーモンドチョコ。

『(中里…私からって言えっていったのに…)』

「えっ？」

『あっ、いや何でもない。これ、ありがとう。実はあのカフェラテね、自販機なんだよ』

「えっ！でもブラックしか…」

『実は、3階多目的フロアの、一番奥…あそこの自販機だけ色々種類あるんだよ。他の人には内緒だよ？意外とみんな知らないから。なんで、あんな奥に一番豪華な自販機、置いてるんだろうな(笑)』

内緒だよ？って…
絶対誰にも言わない。言う訳ない。
二人だけの秘密みたいだもん！

ヤバいな上司だけど

ふっ、て微笑むときの表情とか

目の横の笑いじわとか

ちょっと跳ねてる髪とか

全部かわいい。

好きがどんどん募っていく…

好きだなぁ。

『咲坂さん…？』

「あっ、すみません。ちょっと考え事してました…では、そろそろ失礼します。カフェラテの件、ありがとうございました。私も行ってみます。お疲れ様でした」

＿＿＿

「自販機なんて、どのフロアも一緒じゃねぇか」

「まぁ、全部一緒なんだけどね～」

ふふっ。
二宮には、ただの自販機にしか見えないのか。

って事は色んな種類あるの知らないんだろうな。

まぁ、教えてやんないけど。

「なーに、ニヤニヤしてんの？気持ち悪いんですけど」

「意地悪ばっかり言っていいのかな～、せっかく天音先輩とのご飯、セッティングしようと思ってたのにな～」

「えっ、あっ、待って待って！今のナシ！」

「おーちゃん、山盛りポテト追加～！かずにツケといてね～」

当時はメンタルやられたけど

それがきっかけで天音先輩とは
プライベートでも仲良くさせてもらってるし

櫻井さんとも秘密を共有できたから

今となっては、“ありがとう” なんて思ってる。