その先へ～I'd like to approach～ (ページ1)

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いつものカフェと憧れの人ページ1

[咲坂さん、これコピーお願い]
「はい！」

[咲坂さん、コーヒー入れてもらえる？]
「3分待ってもらえますか？ここまで仕上げたいんで」

[じゃぁ、その後お願い]
「はい！」

[咲坂さん、この書類まとめてもらえる？]
「はい、いつまでに必要ですか？」

この会社に入社して5年…

一応、主任って位置付けだけど名ばかりで

それでも、あの人に少しでも近づきたくて
雑用だろうが、何でも頑張る！って決めたのは
昨日だったけど…

[咲坂、ちょっと]
「はい！」

[これ、まとめてくれないか？]
「わかりました、いつお使いになりますか？」

[来週の火曜までに、お願いできないか？]
「かしこまりました」

ちょっと心が折れそうです…

別に誰かに褒められたいって
思った事は無いけど、

《ありがとう》
の一言ぐらい欲しいなぁって。

憧れのあの人は絶対
≪ありがとう≫って言ってくれる人だった。

「課長、先日お預かりした資料です。最終チェックお願いします」

[おっ、さすがだなぁ。やっぱり咲坂に頼んで良かった～チェックしとくよ]

「はい、お願いします」

私なら出来て当たり前って思われてるのかな？
ていうか、私より暇な人いっぱい居るのに！

これは私の意地だけど、残業なんてしない。
家に持って帰ったりもしない。だって、

『仕事は仕事、プライベートはプライベート。
しっかり切り替え出来ないやつに、仕事は任せられないな』

って言われたから。

さすがに、繁忙期は残業するけど
あくまで、自分の仕事で残る訳じゃない。

「では、お先に失礼しまーす」

[お疲れ様～]

今日も定時であがり！
いつものカフェでコーヒーでも
飲んで帰ろうかな♪

カフェといっても会社の自販機だけど(笑)
毎日、ここでリセットして帰るのが私の日課。

「今日も一日お疲れ様でした～何にしようかな～♪」

自販機に社員証をかざそうとした時、

『ふはっ、かわんねーな。咲坂お疲れ様。』

懐かしい笑い方…そしてこの声…

「櫻井本部長…お疲れ様です。」

憧れの先輩であり、上司であり、
そして、私の好きな人。