社員寮とシャツと修羅場 ページ11
「……っん…此処は…？」
目が覚めると見知らぬ部屋にいる
隣には包帯を全身に巻いた男
そして見知らぬシャツを着ている
誰がどう見ても何かあったと思う光景である
「……へ？」
「…ふぁ… やあお早う よく眠れたかい？」
朝から輝く笑顔を全力で此方に向けてくる男
名は太宰治
「ななな 何してっ て云うか此処何処でっ！？」
「落ち着いてくれ給え それ以上動くと君の魅力的な脚が露わになるよ」
「は？」
シャツを着ているのは分かった
だが下を履いていない というか
「……此れ誰が着替えさせ…」
チラと太宰の方を見るA
目線を逸らす太宰
「………殴っても宜しいですか？」
「待って待って！待ち給え！誤解！誤解だよ！？」
「何が誤解なんですか？ねえ 何が誤解なんですか？」
「おっと！二回云うあたり本気で怒ってるね！？
でも此れにはちゃんと理由があるんだよ！？」
遡ること数時間前
「うちの社員にする 勿論Aちゃんもね」
「「はあああああ！？」」
「敦君は分かりますが何故私まで！？」
「そうだぞ太宰！小娘は一般人と変わらないのだ！そんな小娘を探偵社に入れるだと！？」
「いやいや国木田君 Aちゃんは異能力者だったのだよ」
「はあああああ！？」
「国木田さん叫んでばかりですね」
「いやいやいや！はあ！？」
「はあ…煩いなぁ 国木田君は」
鳥打帽を被った糸目の男性が話す
「乱歩さん…そうは云ってもですね…」
「まあまあ落ち着いてくれ給え 国木田君」
「というか私 入るなんて一言も…」
グラリとAの体が大きく揺れた
「！？ Aちゃん！？」
倒れる直前にAを支えた太宰
「これは… 気を失ってるみたいだねェ」
「気を失ってる…？」
「まずは身元確認をしないとまずいな」
「ふむ…なら今夜は私が彼女を預かろう 敦君は社員寮の一室が空いていたはずだからそこに泊まらせよう」
「はあ！？お前未成年の娘と一夜を共に過ごすと云うのか！？」
「嫌だなあ国木田君 彼女は身元が判明していない
謂わば危険な状態なんだ 其処を守るのが私達探偵社の役目だと思わないかい？」
「しかし…」
「ということでこの話は終了ー！！」
そう云うと太宰はAだけを抱えて夜の街に消えていった
Aだけを抱えて
「……と云う訳なんだよ 分かってくれたかい？」
「…其れはご迷惑をお掛けしました…」
申し訳なさそうな顔で謝るA
「ところで君が…太腿に付けていたものは何だい？」
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作者名：aurora | 作成日時：2019年3月10日 22時
