年下犬系彼氏の事情【松野千冬】

☆73 ページ41

　



千冬side



今日はやっとAさんとゆっくり会えると思って楽しみにしていた。


文化祭以来だし、何より元カノと言う存在を目の前で突きつけられることってすげぇキツかっただろうな。
俺なら耐えきれねぇわ。
　

みいながああいうやつだって付き合っている時からなんとなくだけどわかってた。
　

もっとAさんに目を配っていれば…
途中で帰ったりすることなんてなかっただろう。
　

あれから、みいなから連絡来ないし。
俺は内心ホッとしていた。

いくら友達になったって、一応元カノだし、普通の連絡なんてそう簡単に送ってくるわけがないと思っていた。
　
　



だけど、その考えは甘かったようだ。
　



トイレから戻って彼女を抱きしめると明らかに様子がおかしかった。
　
ゴミが入った…なんてドラマのような嘘ついて。
　

問いただすと、俺のスマホのメッセージを見たと言われた。
　

普段の彼女ならしないはず、やっぱりみいなが原因だよな…。
　

そのメッセージの内容を聞いて俺は空いた口が塞がらなかった。
　


まじか、なんで今送ってくんだよ！！
　


必死にフォローをしようとしたが、彼女には届かなかった。


駅で話しているのも見られていたなんてな。
まじで最悪。
　

しまいにはバイトに行くなんて言うし。
　

そのまま俺を追い出すかのように家を出た。
　
　

　
　






"それじゃあ…"と俺に背を向けて歩き出す彼女の後ろ姿は小さく見えた…
　


　


　





　





俺はなんであの時、彼女のことを追いかけなかったんだろう。
　






　
　





彼女のもとまで走って"大丈夫だよ、ちゃんと話そう"と声をかけながら今にも壊れそうなその、小さな体を抱きしめていればよかったのに。。

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