３５ ページ35
田所先輩の汗が、尋常じゃない。
体を動かしているからとか、そんな感じじゃなくてどこか痛めた･･･？
「さあ、１日目のゴールが見えたっショ」
「っ。ぁ･･･。はいっ」
巻島先輩の言葉で、目の前のゴールに意識を向けた。
私たちは無事ゴールすることが出来て、すぐに１日目の結果を確認する。
結果は総北高校、箱根学園、京都伏見高校が同着で１位ということで驚いた。
御堂筋くん････あのタイム差で追いついたんだ･･･。
すぐに設営されたテントに向かったけど、私は待機していた青八木先輩にだっこして運んでもらって手嶋先輩に怪我の治療をしてもらった。
「よく、あそこから追いついたな。姫は本当にびっくり箱だ!」
「･･･ん。姫はいい子。頑張り屋さん」
「手嶋先輩･･･。青八木先輩･･･」
嬉しい･･･あの時、私は確かに絶望していたんだ。
もう駄目かもしれないって、頭の中が真っ白どころか空っぽになってしまっていた。
頑張れたのは先輩たちのおかげだ。
私は、表彰式の前にと、治療を受けながらみんながいる前でさっき言えなかった事を話すことにした。
「みなさん･･･。ご、ごめんなさいっ」
私が勢いよく頭だけ下げて謝ったことにみんなはキョトンとしている。
落車してからみんなに追いつくまでのお話は一度しているけど、巻島先輩や手嶋先輩たちはまだ知らないから簡単にお話した。
そして、まだ言っていないこと･･･。
「わ、たし。みんなに追いつきたくて、いろんな人に助けてもらって、最後は石垣さんにも引いてもらいました･･･」
「ああ。石垣には感謝しないとな」
そう言ってくれる金城先輩に頷きながらも、私はもう一度頭を下げる。
「私･･･。石垣さんに引いてもらいながら、･･･力を使ってしまいました･･･。ごめんなさい･･･」
「そうか･･･」
シンとした雰囲気の中、怒られるのを待っていると田所先輩が豪快に笑い出して、思わずパッと顔を上げる。
「ははははっ。別にいいじゃねぇか！姫は俺たちに追いつくために全力を出した。ただそれだけじゃねぇか！なぁ？そうだろ？金城。巻島！」
「ああ。その通りだ」
「クッハ。間違いないっショ」
田所先輩の言葉にみんなが頷いてくれて、私はホッと息を吐き出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 182人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» 嬉しい感想ありがとうございます＾＾メロメロ･･･なんて素敵なお言葉でしょう（嬉）そしていつも温かいお言葉とても励みになります。今後も頑張ってまいりますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年12月24日 19時) (
レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 姫ちゃんはどうなってしまうのか、次回が気になっちゃいます！荒北さんの誤解がとけて良かったです♪皆さん姫ちゃんにメロメロですね！更新頑張って下さい*^^* (2019年12月24日 12時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - Mayuさん» 嬉しいコメントありがとうございます＾＾大好きと言っていただけてとても励みになります♪今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年12月17日 2時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - 第9期，お疲れ様でした！瑠璃さんの作品，大好きです！これからも頑張って下さい。応援してます！ (2019年12月16日 15時) (レス) id: bf6e64c20c (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ふたばさん» ありがとうございます＾＾ゆっくり構想を練りたいと思います。いつも励みになっております(*^^*) (2019年12月16日 4時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑠璃色の夢 | 作成日時：2019年10月7日 6時
