第62話：春高バレー2日目 ページ22
第62話
「わ、あ！1セット目勝ってる！」
けど、2セット目は点差をつけられて稲荷崎に押されていた。
春高2日目。
烏野の応援席にかけつけると、そこには既に叶歌先輩たちがいた。慌てて挨拶をして、そして改めて気づいた。
烏野の応援席、何だかいつもよりとんでもなく盛り上がってる……！
「冴子さん！」
「おぉ！来たなAちゃん！」
何ともかっこいい和装に身を包んだ冴子さんを見つけて、思わず大きな声が出た。
それに気づいた冴子さんが振り返り、滝ノ上さん、嶋田さんも私に気づいてくれた。
前おいでよ！と呼ばれ、チラと叶歌先輩たちを見る。
ユニフォームを貰っていないメンバー……特に1年生は、本来であれば荷物番をしたり、試合の準備をしたりこの時間もやることがある。それでも、私の今までの境遇を考慮して、こうして自由時間を貰えていたので、先輩たちがいる手前、1人前に行ってもいいものかと少し考えてしまったのだ。
でも、
「行っておいで」
「遠慮なんかすんな！」
先輩たちは小さく頷き、私の背中を押してくれた。
「ありがとうございます！」
頭を下げて、応援席の階段を駆け下りる。
相手はインハイ準優勝。烏野のみんなが負けるとは思わないけど、間違いなく苦戦を強いられる相手のはずだ。
「ホントに新山女子にいっちゃうんだなぁ」
「嬉しいような、寂しいような……」
私が新山女子のジャージを着ているからだろう。滝ノ上さんと嶋田さんがしみじみと呟いた。
新山女子に行っても、烏野を1番に応援する気持ちは変わらない。確かに、一緒に応援席に立つことは少なくなってしまうけど……
「必ずビッグなプレーヤーになって皆さんに恩返しします！」
「そりゃ全力で応援しますよ！」
「本当にビッグになってくれるだろうからお兄さん期待しちゃう！」
ぐっと両手を握りしめて伝えると、2人も同じようにガッツポーズをしてくれた。
嶋田さんも滝ノ上さんも冴子さんも、そしてここにはいないけど、月島くんのお兄さんも。
応援してくれる人が後ろにいる心強さはこれ以上ないことを知っている。どれだけ背中を押してくれるかを知っている。
「……」
烏野vs稲荷崎の試合に、改めて目を向けた。
マネージャーとして参加していた今までのようにはいかないけど、それでも、せめて今だけでもその心強さのうちの1人になれる。
相手の応援団は訓練された攻撃型だ。だからこそ、絶対に負けたくないと思った。
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しおり(プロフ) - りんさん» ありがとうございます！ネタ考えます🤔 (2022年11月30日 8時) (
レス) id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - マジで面白いです！いつも楽しみの更新待ってます (2022年11月27日 20時) (レス) id: e34fa82e55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しおり | 作者ホームページ：http://nanos.jp/amakusa40/
作成日時：2022年10月10日 21時
