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「なんで、って……交通事故だって聞かなかった?」
「そうじゃなくて……!!」
「A、あいつらなんかのこと、庇って……!」
思わず喉がひゅぅとなるのを一生懸命に抑える。
A、普通の交通事故じゃなかったのか……。
それは、つまり……
なぜか分からないけど、胸の奥がざわざわする。
そんな俺の存在をよそに会話は続いた。
「いじめられてたんだよね、A」
「バレちゃってたか」
「それで、嫌になって、死んだの……?」
「違うよ。なんとなく?」
「はぐらかさないでよ……っ」
やけに落ち着いているAと、テンパっている様子のましろ。
2人を交互に見つめこの状況の行く先を見守る。
ぴんと張りつめた空気を感じて崩れた体勢を直す。
「……じゃあ、これで」
座っていた木箱から腰を離し、その場を去ろうとするAが物陰に隠れる俺の方にやってくる。
やばい、俺がいることがバレる……!
そう思って体勢を今まで以上に低くするも、Aの足音が横を通り過ぎることはなかった。
不思議に思って、おそるおそるAとましろの方を見てみると、ましろが手を引き、Aが去っていくのを止めていた。
……いや、ましろはAに触れられないはずだから、AがAの意思で足を止めているのだと考察する。
ましろの顔が、見たくもないくらいにゆがんでいる。
Aの顔は、影になってよく見えない。
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作者名:間宮しろ | 作成日時:2022年12月11日 4時