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不器用な私達 ページ11

昼の日差しが部屋に少しだけ差し込み

少女の顔をぼんやりと照らした


ゆっくりと目を開ける少女


腹部に軽くだが重みを感じて

少しだけ首を浮かすように目をやる


手のひらが乗っている

もしやと思いゆっくり顔を横に向ければ

スヤスヤと時折眉を顰める毛量の多い男が眠っていた

状況から察するに何か邪な考えを働いたわけではない無いようだ…なんだかまるで


子供をあやしたような…
そしてそのまま母親が一緒に寝てしまった様なそんな感じ


今日は夢を見なかった
この手のお陰かと少し微笑む


昨日はあの日の事について聞かれて
私は逃げしまった


だがそれでもこうして私を気にかけてくれるこの男は
不器用だがとても優しい人なのだと知っている


苦手だと言って何かと理由を付けて男から距離を置く

しかしこの男は空気を読む事を知らない
距離を置かれている事も気づかずまた寄り添ってくる


ああ、どこまでも不器用で優しい人だと再確認して男の手を握った


お日様のように温かくて大きい硬い手は
少しだけ雁字搦めの心を解してくれる



しばらく握っていると男が目を覚ます

寝惚けているのかぼんやりと私を見つめている

私は逃げてしまったあの質問の本当の答えを言う


『全部覚えています』


そう言うと少しだけ男は悲しそうに笑う
その笑みは優しさも含まれていて複雑だ
私は続けて言う


『あの日の事。全部を私はまだ乗り越えられない。だから…まだっ…』


話しているうちに少しだけ心に暗い影が差した
心臓の鼓動が早くなるのを感じて苦しくなる
必死に言葉を紡いでいると、男は体を起こして私の両の手をしっかりと握った


「大丈夫だ」


それだけ言って微笑んでくれた


何が大丈夫なんだと少しだけ笑ってしまった
心にふつふつと沸いた何かもゆっくりと沈んでいく


少しだけ笑う少女と笑われた事に首を傾げる男だった

ゆっくりでいい→←せめて今だけは



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設定タグ:冨岡義勇 , 鬼滅の刃 , 不死川実弥   
作品ジャンル:アニメ
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しづ(プロフ) - 、さん» 外したつもりが出来てませんでした…ありがとうございます! (2019年12月15日 16時) (レス) id: 14c6efd9bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しづ | 作成日時:2019年12月15日 14時

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