恒道館メンバーは、門下生に一人やべー奴がいることを知っている 二 ページ21
「パパ上様ァァァ!?またなに拾って来たのそれェ!?何でもかんでも拾ってくるなって言ったでしょーが!」
「勿体ねーだろコレ」
敏木斎は何かに使えるだろと言うが輿矩に却下されていた。
二人がゴミの山のやり取りをするなか九兵衛は部屋を出て縁側を歩いて行く
「あ!待て九兵衛!話はまだ終わっとらんぞ!」
「僕がこの三年間なにをやってきたかは、手合わせしてみれば分かることでしょう」
九兵衛は振り返って父の顔を見る
「人は何かを護るために強くなるもの。大切な人を護らんと修行を重ね、『憧れた師』を追って隣に並ぼうと足掻いたこの九兵衛と」
「セレブなどというくだらないものを追いかけ護ってきたパパ上。おそらく覆しがたい力の差ができていましょう」
九兵衛の言葉に輿矩は少しの間、黙ってしまった。
「……パパはそういうことを言っているんじゃない。そもそもお前は」
「パパ上はパパ上の護りたいものを護ればいい。僕は僕の護りたいものを護る。この失った目に誓ったんだ」
「……」
歩いて行こうとする九兵衛をの背を、敏木斎はジッと見つめる。
「九兵衛。お妙ちゃんのことは置いといて、お前ホントにあの子と戦うつもりか?お前が決めたことなら、わしは止めはせんが……アレは人が追い越せる壁ではないぞ」
普段から気の抜けたような敏木斎の目つきが、少し鋭くなる。
あの子、とはおそらくAのことだろう。
「……分かってますよ、おじい様。それでもやっぱり、足掻いてその壁をよじ登ってみたくなるんです。おじい様にもあるんじゃないですか?そういう胸のざわめきが」
九兵衛は振り返って、敏木斎に少し微笑みかけた。
強い剣士を見て魅せられた侍は、その輝きに焼かれて胸にうずきを持つ。
それは探究心であり、向上心であり、好奇心。
『彼女を追い越したい』
九兵衛も敏木斎も、同じ気持ちだった。
敏木斎は肩をすくめる。
「お見通しじゃな。だがアレは戦いの度に成長し変化する獣だぞ」
「そうですね。ですので力を貸してくれますか、おじい様」
強者に焦がれた侍にとって、その者との再戦の機を与えられることは餌も同然である。
「久々に本気でやらなきゃならんの」
敏木斎は気の抜けた目を下げてフッと笑った。
「二人とも本当にやり合うの?あの子が九兵衛の姉になる条件ならどっちに転んでも俺は良いけど」
「輿矩様ァァ!!」
輿矩が本気なのかと驚いていれば、奥から部下が慌ただしく駆けてきた。
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刹那*桜(プロフ) - あいさん» ありがとうございます!! (2022年12月27日 20時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 初コメ失礼します!! めっちゃ面白いです!! これからも頑張ってください! (2022年12月26日 19時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
刹那*桜(プロフ) - あたりんさん» ありがとうございます!! (2022年11月20日 0時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
あたりん(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (2022年11月14日 16時) (レス) id: c0f0373936 (このIDを非表示/違反報告)
刹那*桜(プロフ) - 花香さん» コメントありがとうございます!9個もあって長いですなか一気に読んでいただきありがとうございます!!わりと読みづらい所もあるかと思いますが好みと言ってもらえてとても嬉しいです!!(;ω;) (2022年11月7日 23時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年11月7日 0時